古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

ハンセン病療養所「大島青松園」の将来構想、高松市が大島振興方策を取りまとめ

高松市が12月1日、国立ハンセン病療養所「大島青松園」の将来構想を定める「大島振興方策」を発表しました。

香川県・大島は高松港から北東8キロメートルに位置する島。その島全体がハンセン病療養所「大島青松園」になっています。

古賀克重法律事務所ブログ 大島青松園

大島は国の誤った隔離政策の象徴とされ、ハンセン病違憲国賠訴訟においても、裁判官による出張尋問が行われました。
私も弁護団員として、長年に渡って全国の患者団体を引っ張っていた曽我野一美さんに会うため初めて島を訪れて以来、20回以上訪問しています。

特に曽我野さんの原告本人尋問を担当した時は、1か月間で4回、毎週末に福岡から香川・大島まで通い、曽我野さんと膝詰めで準備したことが、今でも鮮烈な記憶として残っています。

ちなみに曽我野さんは敬虔なクリスチャンでしたが、自分の過去を話す様を人に聞かれたくないのか、尋問準備は居住棟から離れた、人気のない教会の中で行われました。

平成11年には258名だった入所者は、平成11年301名から平成26年80名になり、平均年齢は81歳を超えています。原告の中心だった方も次々となくなっており、私が最後に大島を訪問したのも2012年11月、曽我野さんのお通夜になります。

今回発表された大島振興方策の基本方針は、まず何よりも「入所者の意向の尊重」を掲げつつ、「国有資産の有効活用」「有人島としての存続」「大島の特性を生かした振興」を定めました。
全国13か所あるハンセン病療養所としては最後の将来構想案が取りまとめられたことになります。

具体的な内容としては、「これまでのハンセン病療養所としての歴史を風化させず、大島青松園が存在した事実を、歴史的遺産として残していくことが何より重要である」とした上、「このため、納骨堂や歴史資料、歴史的建造物などについては、保全のための管理が将来にわたり施されるよう、その方策について、国と協議をしながら具現化に取り組む」としています。

将来構想といっても1909年(明治42年)から1世紀以上にわたって強制隔離施設だった歴史をふまえたものでなければ意味がありません。その意味でも入所者の意向を尊重しつつ、歴史的遺産を残していくことを明記しており評価できます。

さらに「ハンセン病に対する正しい理解と差別や偏見をなくすための人権学習の推進については、学校教育を始め、あらゆる階層への周知・啓発につながるよう、講演会・学習会の開催の充実を図る」とも記しています。

現在でも小学校・中学校・高等学校などから交流会として来島する数は増え続けています。平成18年761人でしたが、平成21年には初めて1000人を越え、平成25年には1171人と過去最大になっています。
このような取り組みが広がり、永続的になっていくことが何より重要だと思います。

方策は、歴史の伝承と交流・定住の促進を目的として、喫緊の課題として老朽化する港湾の整備を挙げる。現在、官用船のみの運航から、民間定期便の就航で島外の人たちとの交流活発化を目指すとしている。
平成22、25年の瀬戸内国際芸術祭でアートを通し、島外との交流が生まれたことから、アートイベントの開催、芸術家の創作活動拠点などを活性化策の中心に位置づける。
構想を策定した療養所では岡山県瀬戸内市の邑久光明園が特養老人ホームを誘致するなど地域交流や医療態勢の維持を図っている(12月2日産経新聞)