古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

新生児・乳児の沐浴時の熱傷が6例報告、医療安全情報178号が注意喚起

新生児・乳児の沐浴時の熱傷報告

 公益財団法人日本医療機能評価機構が、「医療安全情報」178号・2021年9月号を公表しました。
 新生児・乳児の沐浴時に熱傷をきたした事例が6件報告されています。
 第60回報告書「再発・類似事例の分析」で取り上げた内容です(集計期間:2014年1月1日~2021年7月31日)。

 報告された事例6例のうち、4件は0歳代であり、新生児が3件、乳児が1件になっています。

 入院を余儀なくされている新生児や乳児にとって、清潔ケアは皮膚の清潔を保つとともに、スキンシップをはかる重要な時間です。
 新生児や乳児の皮膚は薄く、皮膚の保護機能が未熟であるため外的刺激を受けやすく、清潔ケアには愛護的な技術が必要です。
 新生児期に沐浴槽を使用して行う清潔ケアを「沐浴(もくよく)」といい、同じ沐浴槽を使用しても乳児の場合は「入浴」と言います。
 ところが、この際に熱傷をきたした事例が報告されているものです。  

1つ目の事例

 1つ目の事例は以下の通りです。

 看護師は、沐浴槽に湯を溜める際、温度が約60℃に設定されていることに気付きませんでした。温度計が設置されておらず、湯の温度を測定しなかったのです。
 看護師は手袋を2枚重ねて装着しており、湯が熱いと感じませんでした。
 そして、看護師が沐浴槽に患児を入れたところ、患児の腰背部から下肢後面に熱傷を生じさせたというものです。

2つ目の事例

 2つめの事例は以下の通りです。

 当該病棟では温度計を使用して湯の温度を測定する慣習がなく、看護師Aは沐浴槽に湯を溜めた際、素手で湯の熱さを確認しました。
 看護師Bは、患児を湯に入れる直前に沐浴槽の湯に肘を入れて確認しましたが、熱いと感じませんでした。
 ところが看護師が患児を湯に入れると泣き出したため、温度を測定すると44℃でした。
 患児の下半身の皮膚は発赤が著明で、皮膚科医師が診察したというものです。

再発防止のために求められること

 事例が発生した医療機関では再発防止のため、以下の取組を行うようになりました。

・沐浴時、温度計を必ず使用して湯の温度が38~40℃であることを確認する。

 新生児の沐浴や乳児の入浴の際は、38~40℃の湯を準備します。しかし、報告された事例4件は、いずれも温度計を用いて湯の温度を測定していなかったのです。

 その他にも各医療機関からは、

 沐浴槽の湯温調節器を40℃に固定した。

 沐浴槽の周囲に「お湯の温度確認」の注意喚起の表示を行った。

 沐浴実施時の温度の確認手順を明確化する。

 沐浴を実施する際の熱傷のリスクに関する教育を行う。

第60回報告書「再発・類似事例の分析」76頁

などの改善策が報告されています。

関連記事

病理診断報告書の確認忘れによる治療遅れが35件、医療安全情報150号
画像診断報告書の確認不足による治療遅れが37件報告、未確立の業務工程が背景に
スタンバイにした人工呼吸器の開始忘れによる心肺停止、医療安全情報135号
患者がオーバーテーブルを支えにした転倒事例が17件、医療安全情報132号
インスリン単位の誤解による事故が多発、医療安全情報131号

外部リンク

日本医療機能評価機構サイト
第60回報告書(医療事故情報収集等事業)