古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

無痛分娩の件数や麻酔方法の情報公開を、厚生労働省特別研究班が提言へ

無痛分娩による重大事故の多発

妊婦の死亡など重大事故が相次いだ無痛分娩。

平成23年には京都府京田辺市の産婦人科医院にて脳性麻痺事例が発生し、同医院では平成24年・25年と事故が発生しました。そして平成27年になると神戸市の2医療機関で無痛分娩後、母子が植物状態後、死亡したケース、無痛分娩後、大量出血により母が死亡したケースが続発。

全国では2016年に29の医療機関で37件も発生していたことが報告されていました。

厚生労働省の特別研究班が情報公開を提言

厚生労働省の特別研究班が平成29年8月以降、無痛分娩の安全策を検討していました。今回、3月末までに提言をまとめ、市民向け公開講座で報告することが公表されました。
提言の骨子は、無痛分娩を実施する医療機関の登録制度を設け、登録した医療機関には無痛分娩の年間実施件数、研修歴、麻酔方法などをインターネットを含む情報公開を求めるというものです。

事故が発生した医療施設では、実際は一人で対応していたにもかかわらず、「麻酔専門医、小児科医等医療スタッフが充実」とサイトで広告していました。その意味からも正しい情報発信は最初の一歩といえるでしょう。

無痛分娩のリスク・危険性について十分事前に認識した上で妊婦や家族が自己決定できるための情報公開といえます。
なお提言はまだ公表されていないため詳細は不明ですが、過去の無痛分娩による事故数、ヒヤリハット事例の有無等についても公表すべきと思われます。

定期的な研修も導入へ

一方において提言は、議論してきた産科麻酔の専門医制度や技術認定制度については導入を見送る方針のようです。

この点、厚労省の特別研究班は、今回の重大事故に共通する問題点として「全脊麻の早期診断ができず事態を悪化させたこと」を指摘しています。

つまり、硬膜外麻酔のカテーテルがくも膜下に留置されたため、局所麻酔薬注入後、全脊麻になったこと。その診断の遅れと蘇生法が適切にできなかったこと。診断が早くできれば、産科医は産科麻酔(帝切時の脊椎麻酔)を普段実施している以上、緊急時の蘇生は可能であったという見解も一部示されていたものです。

そもそも報道された事案は、学会にも出席せず地域医療との連携を取っていない医療施設において発生した事故のようですから難しい問題がありますが、医療従事者・医療機関における研修の深化は不可欠と思われます。

お産の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)の安全策を検討する厚生労働省研究班(研究代表者=海野信也・北里大学病院長)は12日、無痛分娩を行う診療所や病院に対し、麻酔をする医師が定期的に講習を受けた上で、研修歴や無痛分娩の実施数などの情報公開を求める方針を決めた。3月末までに提言をまとめる。

研究班の海野代表は「無痛分娩に対して不安や懸念を持っている妊婦がたくさんいると思うが、わかりやすく情報提供することで、判断してもらえるようにすることが一番大事だ」と話した(2018年2月13日朝日新聞)