古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

品川美容外科をさらに40人が東京地裁に提訴、広がる集団訴訟の動き

品川美容外科に対する損害賠償請求訴訟

 品川美容外科に対する損害賠償請求が広がりを見せています。

 13名の被害者が2014年4月、事前の説明ほど効果が長続きせず、かえって痛みが残ったとして、2400万円の賠償を求めて東京地裁に提訴していましたが、今回新たに40名が提訴することが明らかになったものです。

顔のたるみを改善すると誘われて「フェースリフト」という美容医療を受けた後に痛みが残ったなどとして、「品川美容外科」と「品川スキンクリニック」を全国47カ所に展開する医療法人社団翔友会(東京)に損害賠償を求める集団訴訟が相次いでいる。東京地裁と広島地裁に女性患者計18人が訴え出たのに加え、別の男女40人も近く東京地裁に提訴する予定だ。
弁護団は「施術前に、合併症の説明が十分でなかった。多くの人が現在も痛みに苦しんでいる」と主張する。不利益となる事実を告げずに勧誘したことは消費者契約法に違反するなどとして、代金返還や慰謝料を求める構えだ(10月25日朝日新聞)

 品川美容外科に対してはつい先日も、適格消費者団体である消費者機構日本が、インターネット広告に関する申し入れ等を行ったばかりです。

美容整形の集団訴訟の意義

 集団訴訟を提起するメリットはいくつかありますが、①責任論の立証の軽減、②損害論の立証の軽減、③世論ひいては裁判所へのアピール、④政策変更や問題点の改善による再発防止などが指摘できます。

 美容整形の訴訟における責任は基本的に説明義務違反が中心になります。
 不法行為責任のみならず、消費者契約法違反を指摘するところが工夫したところですが、この訴訟も「不利益となる事実を告げずに勧誘した」という事実関係は前提にしますし、品川美容外科側は「十分に説明した」と主張しているようですから、いずれにしろ各人ごとの立証が必要になるでしょう。

 また包括一律請求のように共通損害を請求するケースでもないため、原告ごとに個別立証が必要になるでしょう。

 その意味で①②についてはあまり立証軽減にはならないと思います(ただし様々な背景事情を把握できるため、立証準備がやりやすいという事実上のメリットはあります)。

 一方、③については、NHK含めかなりのメディアが継続的に取り上げていますし、美容整形の問題点が浸透しつつあるように思われ、成果を上げていると思います。

美容整形サイト広告の問題点

 美容整形はサイト広告にも大きな問題点があり、消費者被害といってよいほどの様相を見せています。

 「施術の限界」や「合併症」にはほとんど触れず、成功例を強調しているクリニックも少なくありません。一般の医療機関のサイトと比較するとその異常さは際立ちます。
 「フェースリフト」にとどまらず、この訴訟が業界の問題点をあぶり出す一つのきっかけになると、④につながっていくのではないでしょうか。

 薬害肝炎弁護団の弁護士も原告弁護団に参加しており、今後の取り組みに期待したいと思います。

(追記:2017年12月6日、東京地裁で和解が成立し、和解金の支払いや再発防止状況を盛り込むことで合意したことが報道されました。例えば、同日付朝日新聞)。

美容外科などのホームページ(HP)上の「広告」を巡り、トラブルが相次いでいる。

 国民生活センターによると、2004年度には全国で11件だったインターネット広告に関する苦情相談が、昨年度は340件に上った。HPで「低料金」を掲げる美容外科で、半ば強引に高額の手術を受けさせられたというケースが多い。消費者団体が大手美容外科にHPの一部削除を求める動きも出ている。
 「ネット上の美容医療に関する広告は事実上、野放し状態にある」。消費者機構日本の磯辺浩一専務理事はそう指摘する。

 医療法は保険適用外の自由診療について、薬事法で認められた医療機器や医薬品を用いる手術以外の広告を禁じている。美容外科の手術のほとんどは広告できないが、HPが“抜け道”になっている。
HPが広告とみなされるのは、医療機関が料金を支払ってバナー広告や有料サイトにリンクさせることで、閲覧者をHPに誘導しているケースに限られており、リンクさせなければ規制は受けない(10月26日読売新聞)

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