古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

大津いじめ自殺から3年、教育現場の意識は変わったか

大津市立中学2年の男子生徒がいじめを苦にマンションから飛び降り自殺した事件から、10月11日で丸3年を迎えます。

この事件をきっかけとして、2013年9月には「いじめ防止対策推進法」が施行され、法律に沿った態勢作りは一見すると進んでいるように見えます。

例えば事件の起きたいわば当事者である大津市は10月1日から「おおつっこ てがみ そうだん」を開始しました。

おおつっこ てがみ そうだん

各学校に配布した定型書式を使えば、生徒が簡単に悩み手紙を出すことができるもの。料金受取人郵便として大津市が郵送料金を負担します。

市いじめ対策推進室によると、同室は児童・生徒たちからいじめに関する相談を受け付けているが、実際に寄せられた相談のうち子供からの分は2割にとどまっている。このため、子供たちが相談しやすいシステムの整備が課題になっている。越直美市長は「匿名でもいいので、悩みがあれば相談してほしい。子供たちを救うきっかけにしたい」と話している(9月30日付け産経ニュース)。

また九州7県で唯一「いじめ防止基本方針」(法12条)の策定が遅れていた佐賀県は、「学校いじめホットライン」を開設して、24時間体制で子どもからの相談を受け付けることを決めました。

佐賀県教育委員会は30日、「未然防止」「早期発見」「再発防止」を柱とした県いじめ防止基本方針を策定した。早期発見策として、24時間対応のいじめ相談電話窓口を近く新設する。九州7県で唯一、未策定の状態が続き、いじめ防止対策推進法施行から策定まで1年かかった。
早期発見策では、「学校いじめホットライン」を開設する。365日24時間対応で、いじめ被害に遭っている生徒や、いじめに関する情報などを受け付ける(10月1日付け佐賀新聞)。

一方で大津事件で息子さんをなくした父親は教育現場の意識は変わっていないと訴えています。

生徒の父親(49)は「隠蔽(いんぺい)体質など教育現場の意識は変わっていない」と危機感を抱く。「せめて同じことが起きないように」と、いじめ撲滅に向け全国を奔走している。
父親は事件後、いじめが背景にある自殺で子どもを亡くした遺族の支援や、国への要望活動などに取り組んでいる。しかし、いじめを端緒とする事件が減ったとは感じられず、大津市教育委員会と同様のずさんな対応が目立つという(10月4日・時事通信)。

一昔前までいじめの問題といえば、学校がその存在を頑なに否定し、生徒・親側は泣き寝入りするか、訴訟に訴えるしか方法がありませんでした。

それがいじめ防止対策推進法の策定によって、外形的な取り組み自体は進んでいますが、学校現場でいかに実効性あるものにするかがやはり問われています。

大津市や佐賀県の取り組みも従前から比べると1歩前進ですが、郵便であれ電話であれ相談することさえ出来ない子どもが存在します。そしてそのような子どもだからこそ、思い詰めて自殺に至ることも少なくありません。

やはり大津事件のお父さんが指摘するように、学校現場が真の意味で変わっていかないと悲劇が繰り返される可能性は決して低くないでしょう。

大津市事件を受けて当時設置された第三者委員会の下記提言は、今もまさに生きている気がします。

先般文部科学省の平成24年4月から9月までのいじめの調査結果が発表された。いじめの件数やその割合が、都道府県により160倍もの差ががあるというニュースがあった・・何がいじめで、何がいじめではないのかを決めるのは、教員でも学校でも教育委員会でもない。子ども自身がどう感じたか、どう思っているのかがポイントである。教員は子どもたちのこころに寄り添い、こころの奥底にある心情を理解することからはじめる必要がある。