古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

新型糖尿病薬「SGLT2阻害薬」で10人が死亡、厚労省が適切使用を指示

2014年4月に発売された新型糖尿病薬を使用していた患者10人が死亡していたことが判明しました。
厚生労働省は事態を重く見て添付文書改訂を指示します。

問題の治療薬は、スーグラ(アステラス製薬・MSD)、フォーシガ、ルセフィ、カナグルなど6製品。SGLT2阻害薬と呼ばれるものです。

アステラス製薬スーグラ

SGLTとは、sodium glucose cotransporter(sodium glucose transporter)の略で、「ナトリウム・グルコース共役輸送体」というタンパク質です。

糖尿病の場合、このSGLTが増加してしまいます。

SGLT2はその名のとおり、SGLT2の働きを阻害する薬剤。
働きを阻害することによって、近位尿細管でのグルコース再吸収が減ります。その結果、尿糖の排泄が増え、高血糖が改善されるというわけです。

日本では2014年4月17日、最初のSGLT2阻害薬が発売されました。それ以来、昨年各製薬会社が競って販売して、10万人以上に使用されたといわれています。

尿路・性器感染症は予想されていましたが、重症低血糖、ケトアシドーシス、脳梗塞など予想されていなかった重篤な副作用が相次いだもの。

朝日新聞が各社の調査を集計したところ、約3700人で約4800件の副作用報告があった。うち重篤なものは皮膚障害、尿路感染症、脱水症など630件で、10人が死亡していた。
日本糖尿病学会の専門医らによる委員会は昨年、新薬の副作用の事例と対策をまとめ、高齢者への投与は慎重に検討することなどを呼びかけた。メンバーの植木浩二郎・東京大特任教授は「適切に水分補給しないと脳梗塞などを起こす恐れがある」と指摘する。(1月9日付朝日新聞)。

既に日本糖尿病学会は、昨年の段階で、「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」を発足させ、6月23日には、「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」を策定・公表していました(その後8月29日に改訂)。

速やかな添付文書改訂を行うとともに、慎重投与の必要性について周知徹底していくことが必要です。

なお「脱水・脳梗塞」について、「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」は、下記の通り指摘しており、参考になります。

循環動態の変化に基づく副作用として、重症の脱水が15例で報告された。さらに、12例の脳梗塞も報告された。脳梗塞発症者の年齢は50代から80代である。脳梗塞はSGLT2投与後数週間以内に起こることが大部分で、調査された例ではヘマトクリットの著明な上昇を認める場合があり、SGLT2阻害薬による脱水との関連が疑われる。また、SGLT2阻害薬投与後に心筋梗塞・狭心症が6例報告された。
SGLT2阻害薬投与により通常体液量が減少するので、適度な水分補給を行うよう指導すること、脱水が脳梗塞など血栓・塞栓症の発現に至りうることに改めて注意を喚起し、高齢者や利尿剤併用患者等の体液量減少を起こしやすい患者に対すSGLT2阻害薬投与は、十分な理由がある場合のみとし、特に投与の初期には体液量減少に対する十分な観察と適切な水分補給を必ず行い、投与中はその注意を継続する。脱水と関連して高血糖高浸透圧性非ケトン性症候群も2例報告された。
また、脱水や脳梗塞は高齢者以外でも認められているので、非高齢者であっても十分な注意が必要である。脱水に対する注意は、SGLT2阻害薬投与開始時のみならず、発熱・下痢・嘔吐などがある時ないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には万全の注意が必要であり、SGLT2阻害薬は必ず休薬する。この点を患者にも予めよく教育する。
また、脱水がビグアナイド薬による乳酸アシドーシスの重大な危険因子であることに鑑み、ビグアナイド薬使用患者にSGLT2阻害薬を併用する場合には、脱水と乳酸アシドーシスに対する十分な注意を払う必要がある。