・2003年4月18日  九州原告団・弁護団 
 「薬害肝炎損害賠償請求事件・提訴声明

 ・2004年5月13日  全国原告団・弁護団  「声明
 ・2006年4月 1日
  全国原告団  「薬害肝炎全面解決要求書(DL)

 ・2006年6月21日  日弁連会長 平山正剛  「大阪地裁判決についての会長談話
 ・2006年6月21日  全国原告団・弁護団  「大阪地裁判決に対する声明
 ・2006年8月30日  全国原告団・弁護団  「福岡地裁判決に対する声明
 ・2006年9月 8日  「国控訴声明(フィブリノゲン製剤訴訟と題する書面)」 (PDF)
 ・2006年9月11日  全国原告団・弁護団  「原告控訴声明
(DL)
 ・2006年9月11日  全国原告団・弁護団
                「フィブリノゲン製剤訴訟・福岡地裁判決について」と題する書面に対して
(DL)
 ・2006年10月5日  3集団訴訟団体 「厚生労働省への抗議の共同声明(DL)
 ・2007年3月23日  全国原告団・弁護団  「東京地裁判決に対する声明 (DL)
 ・2007年3月23日  全国原告団・弁護団  「厚労大臣宛て面談要請書(DL)
 2007年7月31日  全国原告団・弁護団  「声明(DL)

 2008年2月4日  全国原告団  「声明







2008年2月4日   薬害肝炎訴訟全国原告団代表・山口美智子

「薬害肝炎全国原告団声明」

 本日、大阪高裁と福岡高裁において、国との和解が成立しました。5年の歳月をかけ闘ってきた薬害肝炎訴訟も解決に向けた一定の道筋がつきました。
 今日の日を迎えることができたのは、ひとえに皆様からのご支援、ご協力によるものであり、心からの感謝を申し上げます。

 私たちは、フィブリノゲン製剤及び血液凝固第\因子製剤によって、C型肝炎感染被害が生じ、かつ、その被害の拡大を防止しえなかったことに対する責任を国に認めさせることが出来ました。世論の後押しを得て、薬害肝炎救済法を制定させることまで到達もできました。この救済法により、今後も全国5地裁において、薬害肝炎被害者の救済が進められることになります。

 また、私たちの活動は、肝炎一般対策を推し進める突破口ともなりました。
 今春からC型肝炎患者に対するインターフェロン治療費の助成が始まる見通しであるほか、肝炎一般対策予算も増額され、肝炎対策一般を内容とする法案審理も進むと思われます。このような成果は、肝炎患者全体の大きな力になるものと確信しています。

 もとより、製薬企業の謝罪、薬害肝炎が放置された経緯の検証などまだまだ課題は山積みです。特に、治療体制整備が進み、多くの肝炎患者に治療が行われ、その命が救済されることを強く願い、私たちは今後も活動を続けてまいります。
 今後も、私たちと共に歩んでいただきますよう、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

以 上






2007年7月31日   薬害肝炎訴訟全国原告団代表・山口美智子/薬害肝炎訴訟全国弁護団代表・鈴木利廣

「薬害肝炎名古屋地裁判決を受けての声明」

 本判決は、投与製剤の種類・時期を問わず、国と企業の法的加害責任を認め、全員救済への道を開いた画期的判決である。
 すなわち、本判決は、第IX因子製剤について初めて国の責任を断罪し、加えて両製剤について、責任時期を70年代に遡って認めたのである。

 厚生労働大臣は、大阪・福岡両判決の後、原告らとの面会を拒否し続け、東京判決の後に原告らが命をかけて実施した座り込みをも無視し、何ら薬害肝炎問題の解決を図ろうとしなかった。

 本判決により、本件各血液製剤によるC型肝炎感染被害が薬害であるとする司法判断は、全く揺るぎないものとなった以上、国と企業は、直ちにすべての被害者に謝罪し、薬害肝炎問題の全面解決に向けた協議を開始すべきである。

 これまで本訴訟を支援していただいた国民の皆様にも、本件の全面解決及び全ウイルス性肝炎患者の被害回復に、これまで以上のご支援をお願いする次第である。

以 上

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2007年3月23日   薬害肝炎訴訟全国原告団/薬害肝炎訴訟全国弁護団
 厚生労働大臣 柳澤伯夫殿 「面談要請書」


 要請の趣旨
 薬害肝炎全国原告団及び全国弁護団は、厚生労働大臣との面談を求める。

 要請の理由
 本日、東京地方裁判所において、薬害肝炎東京訴訟に対する判決が言い渡された。
 本判決は、昨年の6月21日の薬害肝炎訴訟大阪地裁判決、同年8月30日の薬害肝炎訴訟福岡地裁判決に引き続き、フィブリノゲン製剤による薬害について、みたび国と企業の法的責任を認め、断罪した。さらに、第IX因子製剤についても、初めて企業の法的責任を認めた。
 本日の判決で、本件各血液製剤によるC型肝炎感染被害については、薬害であることが動かぬものとなった。
 厚生労働大臣は、裁判上の争いをやめ、薬害肝炎被害の全面解決、すべてのウイルス性肝炎患者の被害回復に向けた諸施策づくりに、早急に着手すべきである。そのためには、被害者との面談によって、薬害肝炎被害の実情を知ることが不可欠である。
 大阪判決及び福岡判決後、厚生労働大臣は、被害者との面会すら拒否し、何ら薬害肝炎問題の解決を図ろうとしなかった。国がみたび同様の対応をとるようなことがあれば、われわれは、不退転の決意で臨む所存である。
 本要請に対し、2007年3月27日までに、書面にて回答するよう求める。
  以上

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2007年3月23日   薬害肝炎訴訟全国原告団/薬害肝炎訴訟全国弁護団
 「薬害肝炎東京訴訟判決を受けての声明」


 本日、全国5地裁に係属している薬害肝炎訴訟のうち、東京地方裁判所における判決が言い渡された。

 本判決は、昨年の6月21日の薬害肝炎訴訟大阪地裁判決、同年8月30日の薬害肝炎訴訟福岡地裁判決に引き続き、フィブリノゲン製剤による薬害について、みたび国と企業の法的責任を認め、断罪した。さらに、第IX因子製剤についても、初めて企業の法的責任を認めた。

 本日の判決で、本件各血液製剤によるC型肝炎感染被害については、薬害であることが動かぬものとなった。国と企業は、直ちに被害者に謝罪し、薬害肝炎問題の全面解決に向けた協議を開始すべきである。

 大阪判決及び福岡判決後、厚生労働大臣は、被害者との面会すら拒否し、何ら薬害肝炎問題の解決を図ろうとしなかった。国がみたび同様の対応をとるようなことがあれば、われわれは、不退転の決意で臨む所存である。

 これまで本訴訟を支援していただいた国民の皆様にも、本件の全面解決及び全ウイルス性肝炎患者の被害回復に、これまで以上のご理解とご支援をお願いする次第である。

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2006年10月5日   薬害肝炎全国弁護団/原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会/全国トンネルじん肺根絶訴訟弁護団
 厚生労働省への抗議の共同声明



 私たちは、いずれも厚生労働省の所掌事務(薬事行政、被爆者援護行政、労働安全衛生行政)に関して、国ないし厚生労働大臣を被告とする集団訴訟を提訴し、複数の地方裁判所判決において勝訴判決を得た原告弁護団である。
 この間、私たちは、勝訴判決に基づき、厚生労働大臣に対して解決に向けての話し合いを申し入れたにもかかわらず、厚生労働大臣及び担当部署は、原告団・弁護団との協議・面談の要請をほぼ全面的に拒否した。厚生労働省は、それぞれの事件の被害の深刻さと早期解決の必要性を何ら顧みることなく、機械的に控訴することを繰り返している。
 その一方、本年8月27日付読売新聞朝刊によれば、国は厚生労働省を所掌とする事件の相次ぐ敗訴に対し、被害者救済と政策転換を図るのではなく、訟務の人的物的体制の強化に乗り出すとのことであり、被害者に対する誠意ある姿勢のかけらもないと言わざるを得ない。
 このような厚生労働省の「被害者無視・問題先送り」の姿勢こそ、各事件において被害を発生・拡大せしめた最大の原因である。私たちは、事件の教訓から学ばない厚生労働省に対し憤りを禁じ得ないだけではなく、被害発生の構造が現在もなお続いていることに深い憂慮を覚える。
 私たちは、厚生労働省に対して、被害者である原告らの要請に応じて協議の場を設けることを改めて強く求める。また、厚生労働省の不当な姿勢を糾弾するとともに、各事件の全面解決を早期に実現するため相互に協力,共同していくことを、ここに宣言するものである。

以上


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2006年9月11日   薬害肝炎訴訟全国原告団/薬害肝炎訴訟全国弁護団
 「フィブリノゲン製剤訴訟・福岡地裁判決について」と題する書面に対して


第1 はじめに
 国は、薬害肝炎訴訟福岡地裁判決に対する控訴に際し、「フィブリノゲン製剤訴訟・福岡地裁判決について」と題する書面を配付した。
 「フィブリノゲン製剤訴訟」との呼称には、国の、血液凝固第\因子複合体製剤(クリスマシン)の存在をあえて無視しようとする悪意がこめられている。
 また国はその中で控訴の正当性を主張し、理由として、@本件は「医薬行政の根幹に関わる問題」であること、Aフィブリノゲン製剤は産科領域において有効性が認められること、の2点を挙げている。さらに、「C型肝炎施策の推進は、司法判断に関わりなく国民の健康の向上の観点から行われるものであり、今回の控訴は、C型肝炎施策を一層進める上で何ら差し障りにならない。」などと主張している。しかしこれらの国の主張は、いずれも全くの誤りである。大阪地裁・福岡地裁と続いた国敗訴の判決を無視し、自己の責任に目をつぶり、隠蔽し、被害回復を遅らせるだけのものにほかならない。
 以下、これらを明らかにする。

第2 「フィブリノゲン製剤訴訟」との呼称について
 国は従来、報道機関等に公表する資料において、本薬害肝炎訴訟のことを「C型肝炎訴訟」と呼称していた。ところが今回、国の上記書面においては、本訴訟を「フィブリノゲン製剤訴訟」とあえて呼称している。
 周知のごとく、本訴訟においては、フィブリノゲン製剤のみならず、クリスマシン(血液凝固第\因子複合体製剤)による肝炎感染被害の回復も求めている。しかるに、国がこの点を無視した呼称をあえて作出し、用いているのは、この問題の存在そのものを無かったことにしようとする悪意に他ならない。
 クリスマシンは、薬害エイズという悲惨な薬害を惹き起こした極めて危険な製剤である。この薬害について、国は自らの過ちを認め謝罪をするとともに、患者の被害回復を内容とする和解を既におこなっている。
 クリスマシンはエイズのみならず肝炎被害を蔓延させていた。したがって被害回復として、肝炎対策も当然におこなわれるべきであった。しかし国は肝炎被害を無視し、必要な対策を取らなかった。
 本訴訟においては、クリスマシンによる肝炎被害に対する国の責任がまさに争われている。大阪地裁及び福岡地裁判決は、国家賠償責任までは認めなかったものの、クリスマシンに関する国の薬事行政の杜撰さは厳しく断罪している。また、両判決とも、クリスマシンが肝炎に感染する可能性の高い、危険な医薬品であったことを認定している。
 にもかかわらず、国は「フィブリノゲン製剤訴訟」との呼称によって、クリスマシンによるC型肝炎感染被害に対する救済を切り捨てるだけでなく、問題の存在そのものさえ抹殺しようとしている。
 被害者の多くは20歳代の若い男女である。被害者らがクリスマシンによって肝炎に感染したのは、まぎれもない事実である。
 このような国の態度は到底、許されるべきではない。

第3 「医薬行政の根幹に関わる問題」であるとの点について
 国は、控訴の理由のひとつとして、次のように述べている。
 医薬品は両刃の剣であり、患者の救命や健康回復のためには、副作用等のリスクがあっても有用な医薬品は承認していく必要がある。たとえ、重篤なリスクが予想されても、その時々の医学的薬学的知見の下で、リスクを上回る有効性が認められる場合、患者の救命や健康回復のために医薬品を承認することは、国民の健康を守るために必要なことであり、この点は医薬行政の根幹に関わる問題である。
 故に控訴する、と。
 この点、「その時々の医学的薬学的知見の下で、リスクを上回る有効性が認められる場合」に医薬品が承認されるべきは当然である。判決も、このことは当然の前提としている。
 しかしこの訴訟では、そもそも有用性が認められない医薬品であった、とされているのである。
 そもそも、国は、本件血液製剤について、科学的に「リスクを上回る有効性が認められる」のかどうか、全く検討していないのである。
 国は、米国FDAの承認取消しなど、フィブリノゲン製剤の有用性に重大な影響を与える出来事が発生しているのに、その際に何の評価も検討もしていないのである。
 このように、この訴訟ではまさに「医薬行政の根幹に関わる問題」についての国の重大な不作為・怠慢が問われ、断罪されている。国は、この事実を真摯に受け止め、反省しなければならない。まさに「医薬行政の根幹に関わる問題」であるからこそ、控訴せずに直ちに今後の対策を行っていかなければならないのである。
3 福岡判決の判示
(1)福岡判決は、国が「医薬行政の根幹に関わる問題」について誤りを犯し続けてきたことについて、厳しく断罪している。
 ・1964年製造承認時について
 フィブリノゲン製剤製造承認申請にあたって臨床試験資料として提出された報告は、当時における国自身が作成した医薬品製造指針によって要求されていた水準に満たないものである、としている(福岡判決410頁)。
 ・第1次再評価をすり抜けたことについて
 (「フィブリノーゲン−ミドリ」から「フィブリノゲン−ミドリ」と販売名が変わったことにより新たな承認を得たから第1次再評価の対象ではなくなった、との国の主張に対し、)昭和51年4月30日における製造承認は、その経緯等からしても本件非加熱フィブリノゲン製剤の名称変更というべきものであることが明らかであるから、遅くとも血液製剤が再評価指定された昭和53年10月16日の時点において、本件非加熱フィブリノゲン製剤についても再評価指定がされるべきであったにもかかわらず、これがされなかったことは不相当というほかない(福岡判決498頁)。
 
・米国FDA承認取消しは我が国における有効性・有用性に影響を与えるものではないという国の主張に対して
 米国と異なり代替製剤の供給がなかったとか、米国の製剤は不活化がされていなかったとか、米国FDAが考慮したのはB型肝炎のリスクであるとか、米国と我が国では産科医療体制が相違するとかの種々の国の主張に対し、福岡判決は、これらはいずれも、フィブリノゲン製剤の有効性・有用性が検討されなければならなかったという事情に過ぎず、国の情報収集、調査、検討義務に影響を与えるものではない、と一蹴している(福岡判決499頁〜)。
(2)また、有用性についても、当然のことながら、「副作用が少しでもあるから違法である」などとしているものではなく、有効性・危険性双方を考慮し、総合的に判断している。
 ・当時の医学的、薬学的知見に加え、米国FDA承認取消しにおいて示された知見や判断も併せると、(FDA承認取消しを受けて調査・再検討に着手していれば、)調査、再検討の結果、後天性低フィブリノゲン血症に対する本件非加熱フィブリノゲン製剤の有用性を認めることができないとされた蓋然性が高い(福岡判決504頁)。
4 大阪判決の判示
 大阪判決においても、国の「医薬行政の根幹に関わる問題」に関する過誤について断罪されている。
 ・1964年製造承認時について
 フィブリノゲン製剤の製造承認申請に当たり提出された臨床実験資料は,医薬品製造指針の要求する症例数の不足の疑いがあること,粗雑な資料があることなどから,ずさんと評価すべき点が多々含まれていたことは否定できない(大阪判決716頁)。
 
・第1次再評価をすり抜けたことについて
 フィブリノゲン製剤を昭和42年以降承認医薬品に該当するとして新規承認扱いとする合理的理由は見いだし難い。結果として,原告らの主張するように,実質的には再評価制度の潜脱を認めるのと同じことになってしまった(大阪判決725頁)。
 
・米国FDA承認取消しに対する対応について
 厚生省は、海外情報を収集する手段があったにもかかわらず、米国FDAに関する貴重な情報を収集、検討しなかったものであり、医薬品の安全性を確保するという立場からは、ほど遠い、お粗末な面が認められ、その意識の欠如ぶりは非難されるべきである(大阪判決1040頁)。
 
・1987年加熱製剤承認について
 ミドリ十字から提出された治験報告の中には、記載が非常に不十分、簡単なものが多く、個々の例において臨床所見、経過が余り詳しく述べられておらず、フィブリノゲンをはじめ諸検査がほとんど行われていなかったという問題があったのであるから、加熱製剤の製造承認の審査においても、これを当然問題視すべきであった。
 ところが、厚生大臣は、より一層の慎重な調査、検査をするどころか、非加熱製剤を加熱製剤製造に切り替えさせるという方針を立て、あらかじめ申請及び承認時期を定めた上で、極めて短期間に、いわば結論ありきの製造承認を行ったものであるから、安全性確保に対する意識や配慮に著しく欠けていたといわなければならない。
 そして、厚生大臣が後天性低フィブリノゲン血症を適応とする加熱製剤の製造承認をしなければ、その後、同製剤によるC型肝炎(非A非B型肝炎)感染被害が発生しなかったことは明らかである(大阪判決1047頁〜)。
 以上のとおり、両判決は、まさに「医薬行政の根幹に関わる問題」について、国を断罪している。しかるに国は、これに対し全く無反省に、自身には何も過ちはなかったとして控訴したのである。本件控訴の誤りは明らかである。

第4 多くの産婦を救った有効性・有用性のある医薬品であった旨の主張について
1 国の主張
 そして、国の主張する実質的な控訴の理由は、「出産時の大量出血による死亡から産婦を救命するため」に、フィブリノゲン製剤が有効・有用であったとの一言につきる。国は、かかる有効性・有用性の根拠として、フィブリノゲン製剤の有効性が、「多くの産婦の命を救った薬と産科学会等から評価され」ていたこと、「現在でもドイツ等では継続して承認されている」ことなどを挙げる。
2 国の主張の誤り
  しかし、フィブリノゲン製剤には、有効性・有用性が存在しない。有効性・有用性なき医薬品によって多くの産婦が救命された事実もない。
(1)薬事法による再評価において否定されていること
 1987(昭和62)年、国(旧厚生省再評価調査会)は、「提出された一般臨床試験の報告10報には輸血等が併用されているものやフィブリノゲン値が測定されていないものが多く、これらの報告からは本剤の有効であったかどうかを確認することはできない」と結論づけた(大阪判決505頁)。「有効性を判断できなかったということは実質的に否定されたのと同様であ」る(大阪判決730頁)。
 1998(平成10)年、国(小泉純一郎厚生大臣)は、フィブリノゲン製剤について適応を先天性に限定し、もって本件有効性・有用性を否定した。
 かかる製剤に、到底有効性ないし有用性が認められないことは、争う余地のない事実である。
(2)米国FDAにおいて否定されていること
 フィブリノゲン製剤は、1977(昭和52)年に、米国FDA(食品・医薬品局)包括声明において、「フィブリノゲン(ヒト)の臨床効果を評価することは困難であり、その使用が有効とされる適応症はほとんどない。」(福岡判決372頁)と判定され、承認取消・回収がなされた製剤である。
(3)判決上も否定されていること
 上記の国の産科領域の有効性に関する主張は、大阪地裁判決および福岡地裁判決においても、既に一蹴されている。
 
ア 大阪判決
 大阪地裁判決は、再評価調査会がフィブリノゲン製剤の有効性を否定し、かつ国がこれに則って薬務行政を行ってきたことからみて、国が本件訴訟において展開してきた、「産科領域においては有効性が認められてきた」かのような議論から、フィブリノゲン製剤の有効性を認定することはできないことを明確に指摘した。
   すなわち、大阪判決は、「フィブリノゲン製剤の再評価手続当時、フィブリノゲン製剤の適応限定をしないようにとの産科2学会の要望がなされたが、これは、フィブリノゲン製剤の有効性、必要性にこだわる真木、寺尾が主体的に働きかけた結果であり、基本的には真木、寺尾の意見にすぎないとの見方もできる。」、「しかも、厚生省は、産科2学会の要望に対し、産科領域でフィブリノゲンの有効性・必要性を主張しているのは、ミドリ十字とミドリ十字に協力している産科領域の一部の医師だけであると認識し、この見解(日母が研修ノートでフィブリノゲン製剤の使用を推奨していることも含む。)を疑問視して採用せず、内示前後を通じ終始、産科領域も含め、フィブリノゲン製剤の後天性低フィブリノゲン血症に対する有効性は、確認できないとの見解を採っていたものである。」(大阪判決693頁)として、産科2学会の上記見解や平成14年回答書の存在をもって、「フィブリノゲン製剤の有効性の根拠として重視することは相当ではない」と結論づけている。
 そればかりか、大阪判決は、「本件訴訟における被告国の主張をみると、被告国は、再評価当時のフィブリノゲン製剤の有効性についての上記立場を覆し、かつて自らが排斥していた真木や産科2学会の見解をほぼ援用し、産科臨床の現場で後天性低フィブリノゲン血症に対するフィブリノゲン製剤の有効性が認められるとの主張を展開している。訴訟という立場があるにせよ、従来と異なる立場を採る場合には(とりわけ、国という立場においては)、なぜそのような立場を採るかにつき、合理的かつ納得のいく説明をすべきであると思われるが、被告国の主張の中には、このような態度はうかがわれない。」と、被告国が、かつて排斥した産科2学会の立場に全面的に依拠し、これに基づく主張を展開してきたことにつき断罪しているのである(大阪地裁693頁)。
 
イ 福岡判決
 福岡判決もまた、「遅くとも昭和55年11月当時」には、本件非加熱フィブリノゲン製剤の有用性は認められないとして、同製剤の有用性を否定した。
 すなわち、福岡判決は、「遅くとも昭和55年11月当時」には、「フィブリノゲン製剤の有効性が認められるのは相当に限られた場合であろうとして、その有効性に疑問が生じ」ていたこと、「仮に」これが認められるとしても、新鮮凍結血漿やクリオプレシピテートなどの「代替製剤の使用が可能となっていた」ことなどから、「遅くとも昭和55年11月当時においては、当時の医学的、薬学的知見に基づき、本件非加熱フィブリノゲン製剤の有用性を認めることはできなかった」旨、判示しているのである(福岡判決494頁)。
(4)ドイツでの使用についての反論
 なお、フィブリノゲン製剤が外国において使用されているとの、国の主張は、論外である。
 先に述べたとおり、フィブリノゲン製剤が「有効であったかどうかを確認することはできない」と判断したのは、国厚生省が自ら設置した血液用剤再評価調査会に他ならない。そして、国厚生省は、同調査会の結果に基づいて本件訴訟以前の薬務行政を執り行ってきたのである。そればかりか、2つの裁判所もまた、フィブリノゲン製剤の有効性ないし有用性を端的に否定した。
 国自身、訴訟において、ドイツでは未だ承認されていると言いながら、その承認の手続・内容や、使用の実態については、何ら主張立証をしていない。
 かかる状況において、ドイツ等における承認をもって、我が国におけるフィブリノゲン製剤の有効性が根拠づけられることはない。
 このように、国の実質的な控訴理由である、産科領域において有効性・有用性があったとの主張は、国自身がかつて否定しており、大阪地裁・福岡地裁両判決も一蹴した根拠のないものである。かかる理由での控訴が正当性を有しないことは明白である。

第5 「C型肝炎施策の推進」との言い分について
 さらに国は、次のようにも述べる。
 C型肝炎施策の推進は、司法判断に関わりなく国民の健康の向上の観点から行われるものであり、今回の控訴は、C型肝炎施策を一層進める上で何ら差し障りにならない。C型肝炎施策の推進は、感染経路の如何を問わず、種々の原因によりC型肝炎に罹り苦しんでおられる方々にとって重要であり、今後とも一層の推進を図る。
 しかしこの点も、司法の判断をないがしろにした、全く誤った認識である。
 C型肝炎問題に関しては、大阪地裁判決、福岡地裁判決と、2つもの司法判断が下され、国の法的責任が明確にされた。国は、この法的責任を率直に認め、法的責任に基づく施策を行わなければならない。
 国が、問題に対する自身の法的責任を率直に認めた上その責任に基づいて行う施策と、法的責任を否定して単なる福祉的施策として行うそれとでは、全く異なる。この点は、薬害HIV問題や、ハンセン病問題において、国が司法で示された法的責任に基づいて施策を行うことで、それ以前とは根本的に異なる施策が行われ、まさに政策転換が図られたことからも明らかである。
 国は、C型肝炎施策の推進と本件訴訟は関係がないかのように述べているが、認識を全く誤っている。このような国の主張は、肝炎問題に関し、法的責任に基づいた根本的な施策を行う意思がないと明らかにしたも同然であり、言語道断である。
 のみならず、このような主張は、原告らの訴えや被害に全く目をつぶった、傲慢な主張と言わざるを得ない。
 原告らは、単に自身の感染について損害賠償を求めているだけではない。原告らは、ウイルス性肝炎は、その多くが医療行為を原因とした医原病であって、国がその責任に基づいて被害回復を図るべき問題であるとして、国に全ウイルス性肝炎患者のための施策を求めている。
 しかるに、川崎二郎厚生労働大臣は、「これからの医療行政についてならいくらでも話しあう」などと言いながら、上記のような声を面談の上聞いてほしいとの原告らの要請を拒否し、控訴に至った。
 国は、「C型肝炎の施策について今後とも一層の推進を図る」というのであれば、まずは、肝炎蔓延についての自身の責任を認めるべきである。被害者に会い、その声を直接聞くべきである。それなしの施策など、肝炎患者が真に求めるものになろうはずがない。
4 以上のとおり、上記の国の主張は、自身の法的責任を否定している点でも、被害者の声すら聞こうとしない点でも、根本的に誤っており、単に控訴に際しての責任逃れ的・言い訳的発言に過ぎないことは明らかである。

第6 結語
 このように、国の控訴理由及びそれを説明した「フィブリノゲン製剤訴訟・福岡地裁判決について」なる書面には、あらゆる点で正当性がなく、今回の控訴は、単なる問題解決の先送りでしかない。この不作為・先送りの姿勢こそ、まさに薬害発生の人的・構造的要因に他ならないことを、国民の生命・健康を守る義務を負う国・厚生労働省は知るべきである。
 我々は、このような国・厚生労働省の態度を改めさせるべく、本件問題を早期に解決するべく、あらゆる努力を継続していく所存である。

以上


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2006年9月11日   薬害肝炎訴訟全国原告団/薬害肝炎訴訟全国弁護団
 「原告控訴声明」


 去る9月8日、国は、薬害肝炎訴訟福岡地裁判決に対し、控訴をした。

 国は控訴に際して、「フィブリノゲン製剤訴訟・福岡地裁判決について」と題する書面を配付し自身の控訴の正当性を主張している。しかし、以下のとおりいずれも控訴の正当な理由となりうるものではない。
 まず国は、控訴理由の1として、医薬品について、リスクを上回る有効性が認められる場合、これを承認することは、国民の健康を守るために必要なことであり、この点は医薬行政の根幹に関わる問題だ、ということを挙げている。しかし本件で問われているのは、そもそも本件医薬品は有用性が科学的に確認されていないということであり、米国FDAでの承認取消し等に際しても何らの対応もしなかったということである。大阪地裁・福岡地裁両判決は、まさにこの「医薬行政の根幹の問題」についての国の重大な不作為・怠慢を断罪したのである。国はこの事実を真摯に受け止め、まさに「医薬行政の根幹に関わる問題」であるからこそ、控訴をせず、直ちに今後の対策を行っていかなければならない。
 そして国は、控訴理由の2として、フィブリノゲン製剤は多くの産婦を救った有効性・有用性のある医薬品であったとの訴訟上での主張を繰り返している。しかしこの点も、1998(平成10)年、国(小泉純一郎厚生大臣)自身が、フィブリノゲン製剤について適応を先天性疾患に限定し、もって本件有効性・有用性を否定している。かかる製剤に、到底有効性ないし有用性が認められないことは、争う余地のない事実である。これらの事実に基づき、大阪地裁・福岡地裁両判決も、フィブリノゲン製剤の有効性ないし有用性を端的に否定している。
 以上のとおり、国の挙げる控訴理由はいずれも誤りであり、かかる控訴が不当なものであることは明白である。

 また国は、「C型肝炎施策の推進は、司法判断に関わりなく行われるものであり、今回の控訴は、C型肝炎施策を進める上で何ら差し障りにならない」などとも述べている。しかしこの点も、認識を全く誤っている。
 国が、問題に対する自身の法的責任を率直に認めた上その責任に基づいて行う施策と、法的責任を否定して単なる福祉的施策として行うそれとでは、全く異なる。国の上記のような主張は、肝炎問題に関し、法的責任に基づいた根本的な施策を行う意思がないと明らかにしたも同然であり、言語道断である。 

 なお国は、上記書面において、本件薬害肝炎訴訟について、従来国が使用していたC型肝炎訴訟との呼称ではなく、「フィブリノゲン製剤訴訟」との呼称を用いている。
 本件訴訟では、周知のとおり、フィブリノゲン製剤とともに血液凝固第\因子複合体製剤(クリスマシン)も問題となっている。クリスマシンは、薬害エイズという悲惨な薬害を惹き起こした極めて危険な製剤である。しかるに、国がクリスマシンを除外した呼称をあえて用いるのは、この問題の存在そのものを無かったことにしようとする悪意に他ならない。
 被害者の多くは20歳代の若い男女である。被害者らがクリスマシンによって肝炎に感染したのは、まぎれもない事実である。
 このような国の態度は到底、許されるべきではない。
  
 われわれは国の控訴を受けて、控訴し、引き続き国の法的責任を明らかにする。
 しかし、国は、国民の生命と健康を守るという本来の使命に基づき、原告らと本問題の解決に向けた協議に入らなければならない。
 われわれはこの問題の全面解決に向け、今後も一層の努力を重ねていく所存である。

以上

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2006年8月30日   薬害肝炎訴訟全国原告団/薬害肝炎訴訟全国弁護団
 「判決に対する声明」


 本日、全国5地裁に係属している薬害肝炎訴訟のうち、福岡地方裁判所における判決が言い渡された。
 薬害肝炎訴訟は、血液製剤の投与によりC型肝炎ウイルスに感染させられた原告らが国と製薬企業を被告として、有用性のない血液製剤の製造・販売を承認し、製造・販売を続けたことが違法であるとしてその損害賠償を求めた訴訟である。

 フィブリノゲン製剤に関し、本判決は、遅くとも1980年11月をもって被告らの責任を認めた。本判決は、1977年にアメリカFDAがフィブリノゲン製剤の有用性を否定して承認を取り消したのに、我が国では何の対策も取られなかったことをにつき、違法と認定した。この点を始めとして、除斥期間、因果関係など、被告らが免責のために弄してきた詭弁を明確に排斥したものであり、高く評価することができる。

 被告らの責任を明確にした本判決に基づき、被告らは、早急に、何の落ち度もなく感染させられた被害者全員の被害回復に尽力すべきである。
 そして、被告らは、この司法判断を重大に受け止め、無益有害な控訴を断念しなければならない。被告らが控訴するとすれば、それは単なる解決の先延ばしに過ぎず、本判決で断罪された種々の怠慢行為に重ね、さらなる過ちを重ねていくことにほかならず、全国民からの非難は免れない。
 本判決は、予防接種B型肝炎最高裁判決、6月21日薬害肝炎訴訟大阪地裁判決に引き続き、本件においても、肝炎の問題は国に責任があり、国が解決すべき問題であることを示したものである。国は、全ウイルス性肝炎患者の被害回復に取り組まねばならない。そのためにまず国は、早急に、本問題解決のための場を設け、原告らと協議を行うべきである。

 なお本判決は、血液凝固第\因子製剤クリスマシンについては、承認時において、「後天性第\因子欠乏症に有効であり、かつ有用性があると認めるには疑問があったというべきである」と認定したにもかかわらず、被告らの責任を認めなかったものであり、明らかな誤りを犯している。クリスマシンにおける被害者も、フィブリノゲン製剤におけるそれと同じく、早急な被害回復が図られるべきである。

 われわれは、本判決を受けて、国の責任を前提とする全ウイルス性肝炎患者の被害回復につながる全面解決を早期に実現するよう全力を傾注する所存である。これまで本訴訟を支援していただいた国民の皆様にも本件の全面解決までこれまで以上のご理解とご支援をお願いする次第である。

以上






2006年6月21日   薬害肝炎訴訟全国原告団/薬害肝炎訴訟全国弁護団
 「判決に対する声明」


 本日,全国5地裁に係属している薬害肝炎訴訟の初めての判決が大阪地方裁判所において言い渡された。
 薬害肝炎訴訟は,血液製剤の投与によりC型肝炎ウイルスに感染させられた原告らが国と製薬企業を被告として,有用性のない血液製剤の製造・販売を承認し,製造・販売を続けことが違法であるとしてその損害賠償を求めた訴訟である。

 本判決においては、被告企業については、昭和60年8月、フィブリノゲン製剤の不活化処理方法の変更を行った行為を、被告国については、昭和62年4月、青森県での肝炎集団感染事例報告等がなされたにもかかわらず、非加熱フィブリノゲン製剤の適応から後天性低フィブリノゲン血症を除外せず、そればかりか加熱フィブリノゲン製剤の製造を極めて杜撰な手続で承認した点を、違法と認め断罪した。
 他方、昭和39年、非加熱フィブリノゲン製剤の製造を承認した行為及び、昭和53年までに後天性低フィブリノゲン血症の適応を除外すべきであった点については、これを国家賠償法上の違法とまでは認めなかった。また、血液凝固第\因子製剤については、判決は、一切の法的責任を認めなかった。
 その理由は、損害賠償請求権の成立要件を極めて狭く解した結果であり、不当であるというほかない。
 しかしながら、この被告国の責任を否定した部分についても、裁判所は、被告国の行政責任を厳しく断罪している。
 昭和39年の承認時に関しては、「フィブリノゲン製剤の製造承認申請に当たり提出された臨床実験資料は,医薬品製造指針の要求する症例数の不足の疑いがあること,粗雑な資料があることなどから,ずさんと評価すべき点が多々含まれていたことは否定できない。」(判決書716頁)と断じている。
 また、血液凝固第\因子製剤についても、輸入承認申請資料には多々の問題点があり、杜撰といえるとも述べている(同1215頁)。
 昭和53年までの被告国の対応についても、被告国がフィブリノゲン製剤を第1次再評価手続において再評価指定しなかったことを、「遅くとも昭和53年10月16日の再評価指定が行われるべきであったものであり、これを行わなかったことについて、合理的な理由があったとはいえない。」(同1038頁)とする。
 さらに、アメリカFDAの承認取消し情報に際し、何の対応も取らなかったことについては、「厚生省は、海外情報を収集する手段があったにもかかわらず、上記FDAに関する貴重な情報を収集、検討しなかったものであり、医薬品の安全性を確保するという立場からは、ほど遠い、お粗末な面が認められ、その意識の欠如ぶりは非難されるべきである。」(同1040頁)とまで断罪している。

 このような判決を前提とすれば、損害賠償責任を肯定した部分のみならず、責任を否定した判示部分からも、国は、医薬品評価の在り方について、重大な反省を迫られている。
 被告国と被告製薬企業は,本判決で指弾された法的責任に基づき薬害によってC型肝炎に罹患した患者を救済しなければならないことはもちろん,全国に300万人とも350万人ともいわれるウイルス性肝炎患者の被害回復のために治療体制の確立等の恒久対策の拡充を一刻も早く実現すべきである。

以上





2006年6月21日   日本弁護士連合会会長 平山正剛
 薬害肝炎訴訟大阪地裁判決についての会長談話



 本日、大阪地方裁判所において、全国5地裁(仙台、東京、名古屋、大阪、福岡)に係属している「薬害肝炎訴訟」の初めての判決が下された。

本日の判決は、厚生大臣(当時)の行為の違法性について、血液製剤であるフィブリノゲン製剤の1987(昭和62)年の製造承認につき、「厚生大臣は、より一層の慎重な調査、検討をするどころか、非加熱製剤を加熱製剤に切り替えさせるという方針を立て、あらかじめ申請及び承認時期を定めた上で、極めて短期間に、いわば結論ありきの製造承認を行ったものであるから、安全確保に対する意識や配慮に著しく欠けていたといわなければならない」などと指摘して、原告5人の国に対する損害賠償請求を認容した。

当連合会は、サリドマイド、スモン、薬害エイズなど、わが国において間断なく続く医薬品による被害の発生をふまえ、医薬品の安全に関する行政に対して繰り返し意見を表明してきており、1998(平成10)年の第41回人権擁護大会においては、「医薬品被害の防止と被害者救済のための制度の確立を求める決議」を採択したところである。

同決議においては、国が、医薬品安全性確保義務を怠り、市場に出回った医薬品の危険性に関する情報を軽視してきたことなど、国による医薬品被害防止システムに構造的な欠陥が存在することを指摘したうえ、医薬品の安全性・有用性に関する情報を知る権利を具体化させるためのシステムを整備することなどを提言している。

本日の判決は、国がフィブリノゲン製剤の危険性に関する情報を軽視した結果、原告らが「何らの落ち度がないにもかかわらず、C型肝炎ウイルスに感染し、その結果、深刻な被害を受けるに至った」ことを認めるとともに、治療を受けることの困難性や、社会の理解が不十分であることによる不利益を被っていることをも指摘している。

当連合会は、本日の判決を契機として、国が、上記の当連合会の提言を実現するよう改めて強く求めるとともに、より広く被害者が救済されるような施策を速やかに実施するよう要望するものである。

以 上






2006年4月1日 薬害肝炎全国原告団
 「薬害肝炎全面解決要求書


 私たちは、血液凝固因子製剤によってC型肝炎に感染させられた、薬害肝炎被害者です。
 今日200万人とも300万人とも推定されている日本のウィルス性肝炎患者は、血液製剤や輸血用血液、汚染注射器等を介して医原性に感染させられた人たちです。これらの被害は医薬品行政、血液事業、感染症対策等の医療行政の誤りに基づくものです。
 そこで、私たちの人間の尊厳を回復するために、そして、この国のすべてのウィルス性肝炎患者の被害回復のために、私たちは、国と製薬企業に対し、次のとおり要求します。
  
第一 責任の明確化と謝罪を
 1 フィブリノゲン、クリスマシン、PPSBニチヤク等の血液凝固因子製剤によって肝炎感染被害を引き起こした国及び製薬企業が法的責任を認め、謝罪すること

 2 ウィルス性肝炎を蔓延させた医療行政の誤りを認め、国が謝罪すること

第二 責任に基づく被害回復を
 1 国および製薬企業は、薬害肝炎被害者の全被害を回復するにふさわしい賠償金を支払うこと

 2 国は、フィブリノゲンを納入した全医療機関に対して、患者の追跡調査を指示し、特定された患者に対して投与事実を告知し、肝炎検査の勧奨を指導し、その結果を速やかに公表すること

第三 真相究明と再発防止を
 1 国・被告企業・日赤が有する血液事業に関する内部情報を公開し、ウィルス性肝炎感染の真相究明を目的にして、国が外部機関を設置すること

 2 外部機関が、ウィルス性肝炎の感染原因の遡及的調査など、透明性の高い徹底した真相究明調査を行い、その調査結果を公表し、安全確保対策を検討して公表した上、国が当該対策を実施して再発防止策を実現すること

 3 国が、新薬の承認制度及び再評価制度を見直し、有効性・安全性についてより厳格に審査すること、並びに再評価制度について迅速・透明な処理をすること

第四 恒久対策を
   国が、次の対策を講ずること
1 ウイルス性肝炎の治療体制の整備、公費負担の実現
  @ ウイルス性肝炎に対する新しい治療法の研究・開発を促進し、早期に治療費の公費負担を実現すること
  A 二次医療圏ごとに専門医療が受けられるように専門医を配置した医療機関を整備すること
  B 地域がん診療拠点病院を整備して、肝癌の治療体制を促進すること

2 生活支援制度
   治療中のウィルス性肝炎患者に対する生活支援制度を創設すること

 3 障害年金等
  @ 肝硬変等を各医療保険の高額療養制度(自己負担限度額1万円)の「特定疾患」の対象疾患とすること 
  A ウイルス性肝炎患者の「障害厚生年金(3級)」の認定基準を緩和することB 肝機能障害を「身体障害者福祉法」の内部障害と認定すること

 4 検査体制の整備
   ウィルス性肝炎の早期発見・早期治療を実現するための公費による検査体制を整備すること

 5 差別・偏見の一掃
   ウイルス性肝炎の正しい知識を啓蒙・啓発し、ウイルス性肝炎に関する差別・偏見を一掃すること
   特に就学、就職差別をなくすよう具体的な施策を実現すること

第五 定期協議を
   本要求などウィルス性肝炎対策を全面的・継続的に実施するため、厚生労働大臣が薬害肝炎全国原告団・全国弁護団との間で、年1回の協議の場を設置すること

以上

                                                  ダウンロード書式によるダウンロードはコチラ





2004年5月13日

 薬害肝炎全国原告団・弁護団 / 声明


 厚生労働省は、フィブリノゲン製剤納入医療機関名の記載されている文書の情報開示決定に対する執行停止措置を直ちに取消し、当該文書を開示するとともに、速やかにフィブリノゲン製剤が納入された全ての医療機関名を調査・公表し、各医療機関に対し、フィブリノゲン製剤を投与した患者の特定と、当該患者に対する検査の個別呼びかけを実施させよ。
 国民の生命・健康の安全を何よりも優先しなければならない厚生労働省が、医療機関の利益を優先させ、こうした措置を全くとろうとはしないことは、許されるべきことではなく、私たちは、その責任を徹底して追及する。

 私たちは、血液製剤(フィブリノゲン製剤、非加熱第\凝固因子濃縮製剤)により、肝炎ウィルスに感染させられた被害について、国及び三菱ウェルファーマ株式会社等製薬会社に対し、東京、大阪、福岡、仙台及び名古屋の各地裁において、その責任追及を行っている原告団及びその弁護団です。
 
 厚生労働省は、平成13年5月18日、三菱ウェルファーマ株式会社(当時ウェルファイド株式会社)から、昭和55年以降(製造承認された昭和39年から昭和54年までは不明)7004の医療機関に対し、合計538,300本のフィブリノゲン製剤を納入し、推定使用患者数285,409例、推定肝炎発生数8,525例(平成14年3月4日に10,594例に修正)との報告を受けるも、何らの調査も実施しないまま、同年8月28日、「医療機関及び患者を特定して検査の実施等を呼びかけることは現実的に不可能であるので、輸血を受けた患者等とあわせて一般国民全体を対象とする対策の中で、感染の可能性についての情報提供、検査推奨及び相談指導を行うとともに感染者が医療を適切に受けられるよう、普及啓発等を中心として対応する。」と結論づけ、その後、私たち及び全国薬害被害者団体連絡協議会からの繰り返しての要請にもかかわらず、患者を特定しての検査の呼びかけはもちろんのこと、7004の医療機関名の公表すらしません。

 肝炎とりわけC型肝炎は、感染時の自覚症状が乏しいため、感染に気付かないまま時を過ごしてしまうと、自覚症状が出たときには、すでに肝硬変、肝癌という取り返しのつかない病になってしまいます。早期発見、早期治療が重要なことは言うまでもありません。

 感染被害者が検査の機会を得ることによって自らの感染事実を知り、早期に適切な治療の機会を得ることは患者に与えられた当然の権利です。特に、ほとんどの患者は、自らの治療にフィブリノゲン製剤を使用されたことを知らされておらず、しかも、自覚症状の乏しい病気の特質からするに、投与した医療機関には、投与患者を調査・特定し、個別の検査を呼びかけることを義務付けられているといっても過言ではありません。現に、いくつかの医療機関は、自ら進んで、フィブリノゲン製剤を使用したことを公表するとともに、過去の膨大な診療記録などを調査し、患者の特定及び検査の個別呼びかけを実施しています。

 そうであるにもかかわらず、厚生労働省は、7004の医療機関の調査も、公表も一切なそうとはしません。のみならず、厚生労働省が把握している投与医療機関(469)名の記載のある文書の情報公開請求に対しても、「医療機関の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」などの理由で、非開示の決定をしました。
 そして、この非開示決定に対する異議申し立てを受けた情報公開審査会から、「感染の可能性のある者にとって肝炎検査の早期実施が何より重要であることを踏まえると、投与医療機関の名称を公にすることは、感染の可能性のある者にとって肝炎検査の実施の端緒となり得るものであることから、人の生命、健康等に対する被害等が発生することを防止するための必要性は極めて大きいと言える」等の理由によって、開示すべきであるとの答申がなされるや、ようやく開示する旨の決定をしました(平成16年4月16日)。

 しかし、本日、厚生労働省は、開示される一部の医療機関(27)から開示決定に対する異議申し立てがなされたことを理由に、人の生命、健康を保護するために公にすることが必要と認められる情報であるにもかかわらず、安易に、投与医療機関名の記載のなされている全ての文書に関する開示の執行を停止しました。

 厚生労働省の把握している投与医療機関の多くは、三菱ウェルファーマ株式会社(当時ミドリ十字株式会社)から感染の報告がなされている医療機関であり、当該医療機関から多数の感染被害が生じているおそれが極めて高いと言わねばなりません。

 こうしている間にも病状が進行し、手遅れになる感染被害者がいるかもしれない状況であるにもかかわらず、国民の生命、健康の安全よりも、医療機関の利益を優先させる厚生労働省に対し、私たちは、強く抗議するとともに、裁判等において、その責任を徹底して追及していきます。

以上

 薬害肝炎全国弁護団事務局  連絡先
 東京都葛飾区西新小岩1-7-9 西新小岩ハイツ506  TEL 03-5698-8592   福地・野田法律事務所  弁護士 福地直樹
 大阪市北区西天満2-8-1 大江ビル405号  TEL 06-6363-3705   長野法律事務所  弁護士 山西美明
 福岡市中央区赤坂1-5-25-3F  TEL 092-735-1193   古賀克重法律事務所  弁護士 古賀克重
 仙台市青葉区立野11−17シティハイム立野101号  TEL 022-211-5624   坂野法律事務所  弁護士 坂野智憲
 名古屋市東区泉1−1−35ハイエスト久屋5階  TEL 052-953-6011   柴田・羽賀法律事務所  弁護士 堀 康司






2003年4月18日   薬害肝炎九州原告団・薬害肝炎九州弁護団
 薬害肝炎損害賠償請求事件・声明


 本日、フィブリノゲン製剤、血液凝固第\因子製剤等の血液製剤によって肝炎に感染させられた被害者10名が、「薬害肝炎損害賠償請求訴訟」を福岡地方裁判所に提起しました。

 約40年前から血液を介したウィルス性肝炎の危険性とその重篤性が指摘されていたにもかかわらず、製薬企業及び国(厚生労働省)はこれらを著しく軽視し、有効性を客観的に確認できない血液製剤を承認し、また製造・販売を続けた結果、肝炎感染被害の拡大を助長しました。
 そして、製薬企業の試算でも、1万人を越えるフィブリノゲン製剤による肝炎感染被害者がいるにもかかわらず、製薬企業は納入先病院を自主的に明らかにせず、また、国(厚生労働省)もフィブリノゲン製剤投与の実態調査を行わないなど、今も感染被害を知り得ない多数の被害者がいます。

 私たちは、昨年10月21日に既に提訴した東京、大阪の原告団・弁護団とともに、@製薬企業及び国(厚生労働省)の法的責任の明確化、A右法的責任に基づく損害賠償と謝罪のみならず、B肝炎感染被害拡大の真相究明と再発防止、C被害回復のための具体的施策の実現を求めています。
 とりわけ、被害回復のための具体的施策としては、血液製剤による感染被害者のみならず、輸血を含めた肝炎感染者全員を対象として、検査・治療体制の確立・整備、生活保障制度の整備、社会的差別の防止・解消などの実現を求めていく所存です。

 この裁判に対する、国民の皆さんの大きな支援をお願い致します。