任意整理
個人の「任意整理」とは、簡単に言うと、多重債務に陥った多重債務者から弁護士が委任を受けて、各債権者と交渉し新たな支払約定について示談をまとめることです。
ここでは、任意整理を考えている方々へのワンポイントアドバイスをまとめています。(2002年7月現在)
微妙なノウハウなどは弁護士によって異なりますから、この任意整理マニュアルを参考にまずは各地の弁護士会の窓口で法律相談されることをお勧めします。
自己破産については本HPの「自己破産」を参照ください。
分割払いの任意整理の交渉には、基本はあるのですか。
受任した弁護士は債権者に受任通知を出し、各債権者から、@今までの取引経過を開示させます。
そして、A弁護士が利息制限法にて計算し直して、残元金を確定します。つまり、今まで払いすぎた利息を元金に支払ったとすることにより、かなり借金額が減ることになるのです。
Bその上で、36回払い(3年)から60回払い(5年)前後の分割案を提示することになります。
なお、C原則として将来利息は付けずに、元金のみの支払いを交渉の基本としています。
以上の@からCが弁護士による任意整理の基本ということになります。
以下、@からCの基本原則ごとに解説していきます。
A 受任通知・取引経過の開示
債権者がかなり怖いところで不安です。弁護士に任意整理を依頼すれば取立にくることはありませんか。
弁護士が正式に受任後、直ちに各債権者に受任通知(弁護士が付いたことを債権者に知らせる通知)を出します。右通知が出された後の取立は、金融庁がガイドラインを出しており(旧銀行局長通達、旧大蔵省ガイドライン)、禁止されています。したがって大半の業者は取立をやめます(サラ金、信販など大半は大丈夫です。)。
仮に取立をやめない時は、弁護士から関係機関に連絡し、行政指導させるとともに、仮処分など強行手段も考えられます。いわゆる携帯電話のみで営業を行っている業者に対しては、弁護士が直接架電して取立てを止めるように要請します。福岡市内では弁護士から電話がかかると取立てをやめる業者が大半ですが、地域によっては、弁護士を無視した取立てを継続する業者の存在も指摘されています。それぞれの地域の弁護士によく相談して、対応を練ってください。
いずれにしろ、弁護士に委任する大きなメリットの一つが、この受任通知による取立ての停止にあります。
業者は、取引経過を簡単に開示するのでしょうか。
任意整理を受けた弁護士の重要な業務は、取引経過を業者からいかに開示させるかというところにあります。
業者からすると、取引経過を開示して利息制限法で計算されると、かなり元本が減りますし、過払いだと返還請求をされる可能性もあることから、開示に抵抗する会社も少なくありません。また、5年以上の取引があるにもかかわらず、3年分の経過だけ素知らぬ振りをして開示してくる会社も少なくありません。
弁護士は、契約書の日付や債務者からの聞き取りにより、取引期間を把握した上、業者の開示記録を検討することになります。
また、不開示の会社に対しては、「開示しない以上、支払案は提示しない。開示しない会社に対する慰謝料を認めた判決もある。」と粘り強く交渉することになります。
参考判例
武富士の取引経過不開示に対して30万円の慰謝料を認めた決定(札幌地方裁判所平成11年12月6日判決・消費者法ニュースNo42・34ページ・原告代理人山崎俊彦弁護士)
「二 請求の原因
中略
5 原告代理人は、平成11年7月14日、被告に電話をかけ、担当者に対し、原告の全取引経過の開示を求めたが、被告はこれに応じなかった。原告代理人は、同月21日、被告に電話をかけ、再度開示を求めたが、被告の対応は同様であった。
6 原告は、平成11年9月8日、本案訴訟を提起したが、被告は、その第一回口頭弁論期日において、はじめて原告の全取引経過を開示した。
7 大蔵省銀行局長の通達は、貸金業者は債務者から取引内容の開示を求められた場合には、これに協力しなければならないことを定めている。被告は、原告から取引経過の開示を求められた場合には、これに協力する義務を負うところ、この義務に違反し、原告から全取引の開示を求められたにもかかわらず、本件の本案訴訟の第一回口頭弁論期日まで、原告の全取引経過の開示をしなかった。
その結果、原告は、不当な労力、時間と訴訟費用の負担を強いられた。これに対する慰謝料は、三〇万円をくだらない。」
アイフルが事件当事者以外に一般的に弁護士らからの取引経過の開示義務を認めた和解(大阪簡易裁判所平成12年1月12日和解・前記消費者法ニュース・原告代理人前川清成)
「和解条項
中略
被告は原告に対して、今後貸金業規制法、大蔵省銀行局通達ないし同ガイドラインその他関諸法令を遵守し、債務の任意整理を行う弁護士から要求された場合、速やかに当該債務者との取引経過全てを開示することを約する。」
問題のあるサラ金・信販会社などは決まっているのですか。
一概には言えませんが、取引経過に協力的な会社と非協力的な会社は、はっきりしています。
例えば、サラ金のリッチは、なかなか取引経過を開示しませんし、大阪の本社に連絡して交渉しても、3年分だけしか開示しないなど、極めて非協力的でした(実際の任意整理における体験です。)。ですが、12年3月29日報道によると(日経新聞)、プロミスがリッチを買収するということですから、体質が改善されることを期待しましょう。
一方、業界大手のTは、「過去3年分の取引経過しか開示しないようにする。」、との内部通達を出したとの噂が一時期ありました。
いずれにしろ、任意整理を手がける弁護士間では、あまり公表できないような、業者の裏情報も共有していますから、それぞれ工夫しながら開示を交渉することになります。
例えば福岡県弁護士会消費者委員会では、JCFA(サラ金の業界団体)と年に3、4回の定期協議を持っており、そこで問題事例を持ち込むようにしています。前述のリッチについても、JCFAの窓口を通じて取引経過を開示させた上、解決に至りました。
B 利息制限法引き直し・残元金の確定
利息制限法に引きなおすと、債務はどれ位になるのですか。〇円になることもあるのですか。
それはケースバイケースとしか言いようがありませんが、取引期間が長い、借り換え(枠からの引き出し)が少ないような場合は、かなり減ると思われます。
例えば、昭和50年代からのサラ金負債で、20社1000万円を越えている方が、引きなおした結果、400万円前後になったこともありました。
なお、利息制限法で利息を計算しなおして、元本に充当していくと、元本を支払い終わっていることも少なくありません。これを過払いと言います。業者によっては過払いと思われるケースではなかなか取引経過を開示してこないところもあります。そのようなけースでは、弁護士から「要するに、過払いでしょう。〇和解でどうですか。」と水を向けると応じてくることも少なくありません。過払いの場合は、〇和解(要するに0円で和解する)か、5000円から1万円を支払って示談します。
なお過払い金は、法的には不当利得として業者に逆に請求することもできますが、実際に請求するかはケースバイケースということになります(裁判までして求めていくメリットがあるか、早期に0和解した方が良いのか・・・など)。
C 任意整理の支払回数
任意整理における支払い回数について教えて下さい。
取引経過を開示させ、残元金を確定させたら、債権者と支払回数について協議することになります。
基本的には、3年払い(36回払い)を原則とし、それが苦しい場合は、最大5年(60回払い)程度までは業者も応じてくるようです。
ただ月々の返済額をかなり用意することが可能であり、「自分は月々の返済が苦しくても、2年で返済してしまいたい。」という意欲のある方であれば、当然、その内容に従って示談交渉することになります。
以上の回数を目安に、残債権額・月々の支払い額などを考慮して、支払い回数を決定していくことになるわけです。
一括払いの任意整理もあるのですか。
「任意整理」とは、その名のとおり任意に債権者と交渉して、債務を整理することですから、債権者と合意しさえすれば法的な制限などは全くありません。
親族からある程度の支払金を用意してもらえるときは、一括払いの任意整理も当然念頭に置くべきでしょう。
もっとも、現在ある借金をそのまま全部支払うのであれば、「弁護士に任せた任意整理」の意味が全くありません。弁護士が分割払いの場合と同じく、取引経過を開示させ利息制限法に引きなおして、残元金を確定させます。その上で、残元金の一定割合の一括払いを業者と交渉します。
例えば、総債務400万円であったところ、利息制限法でひき直した結果、320万円ほどになりました。親戚からの援助金として160万円用意できましたので、残元金の50パーセントの一括支払いによる示談を債権者と交渉しました。50パーセントのカット率にはかなり抵抗する業者もいましたが、最終的にこの案で示談がすべて成立しました。
また、当初の債権額は500万円前後でしたが、取引経過を開示させて、利息制限法に引き直した上、残元金の8割の一括払いで交渉したところ、結局150万円前後の支払いにて解決した事例もあります。
弁護士に任せたら、何も注意することはないのでしょうか。
「任意整理」とは、多重債務状態になった方が、弁護士を利用して、再度支払いを継続するものです。
弁護士に任せきりではうまくいきません。
家計表を見直し、弁護士と良く相談して、月々の支払い額を決めます。その月々の支払額を念頭に各債権者と弁護士が交渉します。その間、債務者の皆さんには決定した額を積み立ててもらうことになります。
あくまで主役は債務者の方。過去の家計の問題点を見つめなおし、もう一度やる直す気がある方しかうまくいきません。
自己破産か任意整理は、どこで線引きされるのですか。
前述のように本人のやる気はもちろんですが、客観的に支払いが可能な状況であることが分かれ目と思います。総債権額を36回ないし60回で割った金額を月々用意できるかが大きな目安です。
もちろん取引経過を開示させて利息制限法で引き直すわけですから、残元金は減ることが予想されますが、どの程度の減るかは、債務の借り方や借りた時期によって大きく異なります。また、その額の確定は、業者から取引経過を開示させないと判明しません。ですから、当初の目安としては、現在の元金の36回から60回で割った額を月々用意できるかを念頭に置くわけです。
例えば、負債額360万円、債権者8社、月々の支払い15万円。40歳のサラリーマン、手取り収入35万円。妻1名、子供2名の場合。360万円を36回で割ると、月10万円。現在より5万円少なくなりますし、取引期間が長いのであればさらに減る可能性もあります。手取り収入からしても十分任意整理が可能だと判断し、任意整理を選択することになります。
D 任意整理の支払案・将来利息
任意整理では、将来利息はつかないのですか。
任意整理は支払いに窮した債務者が可能な支払案をまとめるものです。利息を支払案では、また行き詰まることが予想されます。ですから、弁護士としては将来利息をカットする支払案を提案することなります。任意整理が浸透してきた現在では、サラ金・信販はある程度、将来利息のカットに応じてくるようです。
ただ、あくまで任意の交渉ですから、応じてこない業者も存在します。その場合は、「債権者平等であって、お宅だけに支払利息を支払うことはできない。」などとねばり強く交渉することになります。
買収情報
プロミスはリッチ(大阪市)を、アイフルは金融整理管財人の管理下にある幸福銀行系のハッピークレジットとスカイ(いずれも大阪市)の営業債権を買収することが判明した。
リッチは99年3月末で、営業貸付金残高682億円程度で業界17位前後。全国に131店舗あり、従業員は約490人。
6月の改正出資法施工で、貸付の上限金利が40・004パーセントから29・2パーセントに引き下げられるため、中堅以下は経営が息詰まり、今後も買収等が行われると予測される。
E その他(任意整理の費用・期間・窓口など)
任意整理を弁護士に頼む費用は?どこに相談すれば弁護士に頼めますか。
今までは、自己破産手続きをやるが、任意整理はしないとの弁護士がいたのも確かです。「自己破産は、事務量としての負担が少ないが、任意整理は弁護士・事務員の負担が大きいのでやりたくない。」という心理だと思われます。
しかし、「自己破産」も「任意整理」も、多重債務解決の「手段」でしかありません。その手段の一方は行うが、一方は行わないというのは職責放棄でしかありません。
そこで、昨今は、弁護士に受任義務を課した上で、多重債務相談を実施する動きが全国の弁護士会に広がっています。
福岡県弁護士会でも、2000年から、研修を受けて登録した弁護士のみが相談にあたり、しかも原則として受任義務がある法律相談がスタートしました。
また費用もなるべく透明にする趣旨から、一社3万円(例えば、7社であれば21万円。4社であれば12万円)にて設定しました(ただし福岡県弁護士会の相談センターを通じて受任した場合です。各法律事務所や各地の弁護士会により異なりますし、多重債務相談などが活発でない弁護士会では、弁護士任せの実情もありますから、相談した弁護士によく費用の説明を受けてください。)。
弁護士の費用は、受任の段階で一括で用意頂くのが原則ですが、ケースによっては分割も可能ですので、よく弁護士に相談してください。
具体的には、電話で予約した上、法律相談を受けて下さい。各弁護士会に問い合わせて法律相談の連絡先を聞かれてください。
東京、大阪、名古屋、京都、広島など各地弁護士会では、サラ金・クレジット相談が行われているところもあります。
弁護士に任意整理を依頼して、解決までどれ位の期間がかかりますか。
事案にもよりますが、私の場合は、「90日ルール」と称して、3か月前後の解決を目標にしています。先ほど述べた@からCの原則を貫こうとすると、半年、1年経ってしまう場合も少なくありません。一方で、債務者が長期間にわたり、将来の支払額が不安定な状態に置かれることは、決してプラスとは言えないからです。
そこで、私の場合は、受任通知により3週間以内での取引経過開示を要求し、開示があれば直ちに支払い案を提示することにしており、3か月前後での解決を目標にしています。
もっとも取引経過を確信犯的に開示しない特定の業者が有る場合は、やむを得ませんので、他の業者の任意整理をすすめ、最終的に残ってしまった業者の処理は依頼者と協議しながら決めるようにしています(つまり、その1社だけ協議を継続するのか、ある程度の見込みで和解するのか、裁判まで考えるのか・・)。
いずれにしろ、依頼した弁護士と事前によく話し合っておく必要があるでしょう。
弁護士費用を用意できません。自分で任意整理をすることはできませんか。他の手続きはありませんか。
債務を整理するには、@弁護士に依頼して、いわゆる「任意整理」を行うか、A自分で債務調停を申し立てることが考えられます(もちろん、弁護士で債務調停を申し立てることもありますが、ノウハウのある弁護士であれば、基本的には@任意整理を行います)。
弁護士費用もばかになりませんから、費用を考えれば、Aをご自分で行うことも一考でしょう。
@とAの差は、一般的には、以下のとおりです。
費用
@は弁護士費用がかかりますが、Aは若干の申立費用のみですので、費用的にはAの方が安くつくと思われます。
手間
@は、業者との交渉を弁護士に依頼しますから、ご自分で交渉したりすることは必要ありません。Aの場合は、ご自分で裁判所に出頭して、債権者と調停委員を通じて交渉するわけですから、少なくとも1か月に1度、裁判所に赴く必要があります。裁判所は平日9時から5時までですから、お仕事をされている人は都合をつける必要がある面では、手間はかかると思われます。
和解内容
@「任意整理」の場合は、冒頭で説明したように、過去の取引経過を開示させて、利息制限法に引き直し残元金を確定させた上、3年から5年の分割支払い案、将来利息はカットという内容で交渉をします。
Aの場合は、各地の裁判所の方針、そして各調停委員の心構えによります。例えば取引経過を開示しない業者にどれだけ開示を迫れるか、将来利息を強要する業者にどれだけカットを説得できるか・・・など弁護士の任意整理であれば、当然求めるべき内容をどれだけ獲得できるかは一概にはいえません。
例えば、福岡簡裁の債務調停は、取引経過の開示などが不十分で、弁護士から評判が悪いとともに、債権者からは評判がいい(つまり、業者よりということ)というものでした。ですが、最近のNBL(13年9月15日、721号、26頁以下)では、福岡簡裁 における特定調停の実情が裁判所から報告されており、「過去3年の取引経 過しか開示しない業者には・・業者を説得して提出を即している」、「本 年6月から、すべて利息制限法所定の率とするとともに、将来の利息を取 らないなどとする案を示して債権者の協力を求めている」などと、非常に 遅ればせながら、機能を果たしつつあります。
要するに、確実に「任意整理」なみの和解案が獲得できるとは限らないが、裁判所によっては、「任意整理」なみの和解案も獲得できる可能性がある・・ということになるでしょうか。
債務調停(特定調停)について、もう少し教えて下さい。
2001年2月17日施行の「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」(特定調停法)は、返済困難に陥っている多重債務者にとっては、今までの調停よりも利用しやすくなりました。主たる改善点は以下のとおりです。
@ 裁判所の判決や和解調書・調停調書による給料差押さえなどの民事執行手続停止も可能となりました。
A 業者が取引経過を提出しない時は、調停員会が提出命令を出すことができ、 正当な理由なく提出しない業者に対しては10万円以下の過料の制裁を加えることができるようになりました。
ですから、弁護士に依頼する前に、既に給料差し押さえを受けており、支払いに窮しているような場合は、債務調停(特定調停)を申し立てるメリットが大きいと思われます。
弁護士に任意整理の相談に行くことにしました。何を用意すれば良いのですか。
私の場合は、@債権者一覧表と、A家計表を用意してもらうようにしています。
債権者一覧表は、負債状況や債権者を確認するためのものです。債権者名、住所、最初の借り入れ日・最後の借り入れ日・残金・使途などを書き込みます。
家計表は、収入と支出のバランスを確認して、債務整理案を検討するために必要なものです。
収入欄には、手取金額、支出欄には、家賃額、光熱費、食費、外食費、洋服代、医療費、交通費、支払額などを記載します。
弁護士に頼む時に注意することはありますか(悪徳弁護士問題)。
東京では、悪徳業者と結託しているおそれのある問題弁護士が100名前後ピックアップされています(2001年現在)。
手口は、スポーツ新聞などに「負債をまとめます。必ず融資。まずはお電話を。」などの広告により勧誘したり、「弁護士無料法律相談」と銘打ちながら、相談場所には弁護士ではなくて業者の人間だけがいたり、さらには自分の弁護士名義だけを業者に利用させ、実際の処理は業者に任せきりにするものです。このように業者と癒着していることから、「整理屋提携(せいりやていけい)弁護士」と呼称され、日本弁護士連合会ではその根絶を目指しています。
例えば、2001年5月に処分した1事例は、以下のようなものです。
業務停止 2年
弁護士Mは、・・従前から非弁提携によって報酬を得る目的で多重債務者の債務整理を行っていたXと提携して、1998年2月9日から1999年4月9日までの間、×の行う債務整理事案150乃至200件の代理人に就任し、自らは事件処理に関与せず、自らの名義による報酬・弁済金の受領や債権者との交渉・弁済などその処理のすべてを任せ、もって×に自己の名義を利用させたものである(2001年8月、日弁連公告)
この整理屋提携弁護士は、利息制限法でのひき直しをしなかったり、業者に言われるがままの和解をしたり、多額の弁護士費用を請求したり、そもそも受任だけして放置したりして、依頼者に2重、3重の被害を与えるものです。
弁護士会の窓口以外の「業者による弁護士の紹介」は、この整理屋提携弁護士だと思って頂いて、まず間違いはありません。
業者から紹介される弁護士には決して依頼しないことが肝要です。今依頼している弁護士に不安がある場合は、各地の弁護士会窓口ないし日弁連に相談してください。日弁連では、提携弁護士の情報収集も行っています。
F 闇金融(ヤミ金融)問題
2000年度以降、法定利息をはるかに越える違法金利を取る闇金融(ヤミ金融)の存在が社会問題化しています。ここでは、闇金融(ヤミ金融)問題を特にピックアップして取り上げます。
なお、より詳しい内容をお知りになりたい方は、「ヤミ金ラクラク対処法」(福岡県弁護士会発行・1500円)をご購入ください。
いわゆる闇金融(ヤミ金融)から金を借りて、3日で1割の利息を取られています。どう対処すればよいですか。
ヤミ金融にいったん手を出してしまうと、後は、負債は増え続けるしかありません。直ちに、弁護士会の相談窓口に相談して、弁護士に依頼する必要があります(福岡県弁護士会では、多重債務相談窓口があり、そこでは多重債務を扱う弁護士の名簿によって相談業務が行われ、しかも、弁護士に受任義務が課されています)。
基本的に、弁護士は、全ての携帯電話の業者に直接電話をして、交渉を行います。交渉の基本方針は、各弁護士によって異なりますが、基本的には、弁護士に委任した日以降の返済は行わない、闇金融(ヤミ金融)に支払った金員の返還を求めることとなります。
闇金融(ヤミ金融)にはどのような種類があるのでしょうか。
利率で分類すると、「トイチ」(10日で1割、年利にすると365パーセント)、「シュウイチ」(1週間で1割、年利にすると521・4パーセント)、「イチイチ」(1日で1割、年利3650パーセント)などが代表的なものです。
業者の種類で分類すると、「090金融」(無登録業者による携帯電話を利用した金融)、「都のイチ(都1)」(東京都の貸金業の場合、登録番号の冒頭に「都(1)」と付く。都の登録をしておきながら、全国各地にダイレクトメールを送るなどして、違法金利による貸付を行っている。)などがあります。
明確な定義があるわけではありませんが、違法金利を収奪することを目的とし、実際に違法金利を取っている業者といえます。
弁護士に依頼をすれば、闇金融(ヤミ金融)からの取り立ては止まるのでしょうか。
個人的な感覚としては、8割の業者は〇和解、返金に応じ、残りの1、2割は強行・・・・という感じでしょうか。例えば、強行な業者は、弁護士が電話をかけても、「おまえなんか関係ない!」、「弁護士が何様だ!」、「お前の事務所はどこだ!」などと電話口でも脅迫まがいの調子です。ですが、そういう業者も弁護士と最後まで喧嘩をすれば、さすがに摘発されるということを分かっており、最終的には取り立てを断念するケースがほとんどです。
それでも取り立てを続ける業者については、すぐに刑事告発を行い、その旨も電話連絡し、また警察の担当者から電話を入れてもらうことも行います。
闇金融(ヤミ金融)は電話口でどのような対応なのでしょうか。
前述の「ヤミ金ラクラク対処法」が業者の対応を分類していますので、引用してご紹介します。
1 あっさり型
「分かりました・もう請求しません」
2 泣きつき型
「元金、いや、その半分だけでも返してくださいよ」
3 粘着型
「借りたやつが詐欺じゃないか。」「弁護士費用は俺からだましとった金ですよ。返してください」
4 激高型
「貴様、弁護士が何様のつもりか!」「あいつを電話口に出せ!」「ふざけるな、今からおまえ(弁護士)の事務所に押し掛ける、場所を教えろ!」
などです。
いずれにしろ、その不合理な対応は明らかですので、弁護士としては、冷静に、そして計算した上(激高型などの場合は、テープ録音などを行います)で対応します。
全国的な状況はどのようなものですか。地域によって異なりますか。
福岡は、行政(福岡県、福岡市、県警)の生ぬるい姿勢と相まって、「ヤミ金融天国」と評しても良いような状況です。街中の電柱のあちこちには、「090・・」という携帯電話を使用したちらしが張られています。つまり、貸金業登録を行わない暴力団関係者、暴力団親交者、金融くずれの者が、違法に携帯電話による営業を行っています。
ようやく、福岡県弁護士会消費者委員会の働きかけもあり、シンポジウムが開催されたり、マスコミ各社も、2002年の暮れぐらいから重い腰をあげて、キャンペーンをはっています。
一方、東京ですと、貸金業登録を行った会社が、表面上は適法を装い、その実、違法利息を取っていることも多いようです。東京の業者に電話をすると、「はい、○○信用債権回収部門でございます」などと丁寧に、しかし、ぎこちない感じで応対しますが、その後ろの電話グチでは、「お前、死にたいのか!」などと大声で取り立てを行っている声が聞こえたりします。ですが、おしなべて東京の業者は、〇和解・元金和解には素直に応じ、弁護士と争うことは避ける傾向にあるようです。
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