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宗教被害・宗教トラブル

宗教被害・宗教トラブルの深層

古賀克重法律事務所 宗教被害・宗教トラブル

憲法上、内心の自由としての信教の自由が保障されており、最大限尊重されなければなりません。

一方で宗教の名を借りた団体による財産、生命の被害も後を絶ちません。特定の宗教を信仰したり、逆に信じない自由はすべからく内心の問題として尊重されます。
しかし内心の自由を超えて、布教活動の自由、宗教団体としての活動の自由は、他者の人権と衝突する可能性を秘めています。

こうして、いわゆる霊感・霊視商法、宗教団体からの脱退問題、宗教団体と近隣との生活トラブル、名誉毀損、入信脱退問題・・その問題は様々な法的紛争として顕在化していくわけです。

宗教活動の限界と財産上の被害

例えば、宗教団体による献金行為も信教の自由の発露であり、宗教の自由の基盤として尊重される必要があります。

しかし、献金を勧誘する行為が相手方の脅迫、急迫、軽率などに乗じ、ことさら不安、恐怖心をあおるなど、不相当な方法でなされ、その結果相手方の正常な判断が妨げられた状態で著しく過大な献金がなされたと認められるような場合には、社会的相当性を逸脱して違法と判断されます。

高齢の母が知らないうちに高額な献金をしていた、夫がボーナスを献金につぎこんでいた・・そのような相談は後を絶ちません。
日本弁護士連合会も1999年3月、「反社会的な宗教的活動にかかわる消費者被害等の救済の指針」を公表しています。

事例1法の華三法行による宗教被害

私が弁護団事務局長として解決した全国的な宗教被害の事件に「法の華三法行」があります。

「法の華三法行」とは1987年に設立された宗教法人です。設立以来、福永法源(ふくなが・ほうげん)が教祖として活動しました。

法人所在地は静岡県富士市厚原(当時)であり、「天声村」と称して4000坪もの広大な敷地に修行の場などを設けていました。

法の華は全国に11の本局と4つの支局を設けるほか、株式会社アースエイドなどの関連会社を通じて出版にも力を入れて信者を増やしました。

1996年頃から、この「法の華三法行」に関する被害相談が急増しました。そこで、全国の消費者被害・宗教被害を取り扱う弁護士を中心に全国で弁護団が結成され、全国8地方裁判所約1000名の被害者が損害賠償請求訴訟を提起しました。

福岡地方裁判所平成12年4月28日判決(判例タイムズ1028号254頁)は、以下のように判断しました。

まず一般論として、「特定宗教の信者が、相手方に先祖の因縁等の話を述べて、修行への参加や物品の購入等の出損を勧誘する行為は、当該宗教の教義を広め、その宗教活動を維持するために行われるものである等、その行為が社会的にみて正当な目的に基づくものであり、かつ、その手段や結果が社会通念に照らして相当である限り、正当な宗教活動の範囲内にあるものと認められ、違法性を有しない。」としました。

その上で、「しかしながら、相手方の出損を前提とする行為の勧誘が、右範囲を逸脱し、その目的が専ら相手方からの出損による利益の獲得にある等不当な目的に基づく場合、また、先祖の因縁等の話を利用し、害悪を告知して、殊更に相手方の不安をあおり、困惑に陥れたり、長時間にわたる勧誘などにより、相手方を疲労させ、判断力を低下させた上で、相手方に出損することを決意させるなど、不当な手段により、到底自由な意思に基づくとはいえない態様で出損させた場合、さらに、右勧誘行為の結果出損した額が、各出損者の年齢、家庭環境、資力、社会的地位等に照らして、不相当に高額であるような場合には、もはや当該勧誘行為は、宗教として社会的に相当なものとして許容される範囲を逸脱しており、違法であるとの評価を受けるといわなければならず、これにより出損をした者は、右勧誘をした者に対し、不法行為を理由として損害賠償の請求をすることができると解するのが相当である」と判断しました。

そして、福岡地裁本判決は、被告らの勧誘行為を詳細に認定した上でその違法性を認め、法人に不法行為責任を認め、時効の主張を排斥し、出損額のみならず慰謝料の請求を認めるなど、原告の全面勝訴判決でした。

福岡地裁判決は全国初の民事判決でしたが、この判決を契機に全国で勝訴判決が続き、やがて宗教法人代表者に対する刑事事件、破産事件(2001年3月破産宣告)へと発展しました。そして私たち弁護団は債権届出手続きを行い、2003年4月には約25%という高率の配当を得ることが出来て、最終解決へと向かいました。

事例2お布施の返金示談交渉事件

私が代理人弁護士として解決した個別事案ではお布施の返金示談交渉事件があります。

依頼者は80代でしたが社会的地位もあり、健康であって意思能力にも問題ない方でした。

30代から帰依していた某仏教の寺院に対して、総額そして数千万円に達するお布施をしてきたという事案です。

金額総額と出捐期間からするとかなりの問題も考えられましたが、よくよく話をうかがってみると、「自発的に布施した」、「住職からは無理しないようにという言葉はあった」、「株で出た利益だったので無駄遣いするよりも良いと思っていた」という言葉もありました。

一方で住職の代が変わり、現在の住職とコミュニケーションが取れなくなり、これまでの貢献に対しても全く評価されない仕打ちを受けているというところが不満の出発点のようでした。

そして「先代を信じて長年払ってきたが、今思うとマインドコントロールを受けていた。少しでも返金してもらって孫にお金を残したい」というのが依頼の趣旨でした。

私から、「目的・手段・結果から社会的相当性を逸脱した場合には違法と判断されるが、そうでない場合には宗教活動、信教の自由として許されることになる。遡って単純に全て違法になるという問題ではないと思われる」という説明をして理解を求めて、まず依頼者と共通の土俵を作りました。

その上で、私が委任を受けて寺院に対して内容証明郵便を発出して返金を交渉する方針に。内容証明郵便の中では依頼者の心情を細かく説明した上、50年に渡る出捐が仮に自由意志だとしても金額が高額すぎるので一部返金を求めました。

寺院側も先代が窓口になった上、現在の寺院の内情も含めた誠意をもった説明と提案があり、3分の1程度の金額を返金することで無事示談成立したものです。

本件では示談交渉の過程を通じて、依頼者の寺院に対する疑念も氷塊していき、最終的に双方に満足して頂けた事案でした

宗教団体としての活動の自由も憲法上、保障されていますし、金額の多寡を問わず宗教団体側から激しく抵抗されることも少なくありません。「遡って嫌気がさした」からといって必ず返金に応じてもらえるものではありませんのでその点には注意と理解が必要です。

宗教団体に対する名目を問わず出捐した金銭の返金を求める事案では、裁判例の基準に従い目的・手段・結果を丁寧に分析するとともに、依頼者の返金を求める気持ちがどこから来ているのか、そして相手方宗教団体がどのような団体か(まっとうな宗教法人か、いわゆるカルトか、カルトではないにしても同種トラブルを抱えていないか等)を分析した上で方針を立てることが肝要になってきます。

事例3

私が代理人弁護士として交渉解決した事案では、宗教活動と近隣住民との調整を行ったものがあります。

宗教施設における宗教活動の音(信者の声・流す録音テープの音量・太鼓など)、宗教施設に隣接する駐車場における信者の車両の出入り・信者の施設への出入りの音など、近隣住民にとって苦痛を覚えることも少なくありません。

大半の宗教施設は地域住民と共存するために配慮ある活動を行っていますが、中には問題が生じることもあるのです。

私が依頼を受けたのは宗教施設の目の前に自宅がある方でした。そのため宗教施設内のお祈りの声、夜中の車両の出入りについて精神的に苦慮しているケースでした。

私が委任を受けて、宗教施設に通知書を出した後、電話による協議を続けました。そして最終的には私が宗教施設を訪問し、施設の状況・行事の年間スケジュール・参加人数・行事の時間帯等について説明を受け、責任者と協議した結果、合意に至って合意書を締結したものです。

具体的には施設への出入りの時間、駐車場の利用時間など、宗教活動の自由と近隣住人の生活の平穏を調整し、かなり細かい事項についてまで合意書に書き込んで解決しました。

このような紛争については、裁判になると、人格権に基づく宗教活動の差し止めや不法行為に基づく損害賠償請求を行うことが考えられます。裁判では、住民の訴える被害が「受忍限度を超えているか」によって判断されていきます。

しかし裁判が長期化すればかえって住民が苦しむこともありえますし、立証の負担には大きなものもあります。

双方の言い分を調整して、協議にて解決することがまずは求められている紛争ということができるでしょう。

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