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ハンセン病最新ニュース

私が初めてハンセン病療養所を訪ねたのは1998年3月7日でした。

弁護士4年目でちょうど弁護士1年目からかかわった薬害HIV訴訟が一区切りを迎えようとしていた頃です。

前提知識も余りなく誘われるまま鹿児島県の敬愛園を訪問しました。強制収容されて故郷に戻ることのできない元患者の皆さんの話をお聞きして引き込まれたました。そしてこのような政策が長きに渡って日本で行われたこと、その事実が社会で知られていないことを痛感しました。

その後、ハンセン病違憲国賠訴訟の原告弁護団に参加。被害実態調査、そして熊本恵楓園における検証の準備として、全国12の療養所を訪問しました(ちなみに国立ハンセン病療養所は全国に13ありますが、静岡県所在の駿河療養所だけ訪問の機会がありませんでした)。

政府や国会の不作為の違法を問うという法律上の論点としてはハードルの高い裁判でしたが、2001年5月11日の熊本地裁判決が勝訴判決を下し、同年5月23日の政府の控訴断念・謝罪となりました。

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90年を越える隔離政策による被害。それは当然ですが裁判だけで解決するものではありません。今も様々な場所、様々な機会に取組が行われています。

ここではそんなハンセン病を巡る「今」をメディア報道を通じて考えたいと思います。

2018年

  1. 「十坪住宅」の模型を寄贈、岡山 ハンセン病政策の象徴、後世に

    岡山市の岡山理科大専門学校の学生が国立ハンセン病療養所「長島愛生園」(岡山県瀬戸内市)にある「十坪住宅」の模型を作製し、同園に6日、寄贈した。十坪住宅は強制隔離政策の象徴とされており、同園は模型を展示するなどして後世に伝えていく方針。

    同園によると、強制隔離政策を推し進めようと昭和初期に建てられた十坪住宅は、6畳2間を基本とした木造平屋で、1棟に夫婦2組など複数の患者が生活していた。園内に約150棟が建設されたが、現在は5棟が残るだけで、老朽化が進み保存が課題となっている(2018年2月6日西日本新聞)

  2. ハンセン病問題に関するシンポジウム 正しい知識 歴史を後世に

    ハンセン病などへの正しい理解を深め、偏見や差別のない社会をめざす「ハンセン病問題に関するシンポジウム 人権フォーラム2018in東京」(厚生労働省、東京都など主催)が3日、都内で開催された。これには国立ハンセン病療養所「多磨全生園」(東村山市)の入所者らと交流を重ねてきた都議会公明党の谷村孝彦幹事長代行と伊藤興一議員が出席するとともに、主催者を代表して高木美智代厚労副大臣(公明党)があいさつした。

    シンポジウムでは、ハンセン病回復者や支援者らによるパネルディスカッションをはじめ、ハンセン病やHIV(ヒト免疫不全ウイルス)をテーマにした演劇の上演などが行われ、約500人の参加者がハンセン病をめぐる歴史や差別問題を考える機会となった。

    主催者あいさつで高木副大臣は、昨年8月に多磨全生園を訪れ、生活資料を見学したことなどを報告。ハンセン病の差別問題について「反省し、二度と繰り返してはならない」と訴えた。

    ハンセン病患者の名誉回復のため、公明党は一歩も引かずに人権擁護を推進してきた。2001年、国の隔離政策を憲法違反と断じた熊本地裁判決を受け、坂口力厚労相(当時、公明党)は、国の方針を覆し控訴断念の政治決断を導いた(2018年2月7日公明新聞)

  3. 「差別ない社会へ」遺志継ぐ 佐川修さん「お別れの会」

    24日に86歳で亡くなった国立ハンセン病療養所「多磨全生園」(東村山市)入所者自治会の前会長、佐川修さんの「お別れの会」が26日、園内の全生園会堂で営まれた。入所者や職員らが佐川さんをしのぶとともに、遺志を継いで差別や偏見のない社会を目指すと誓った。 

    佐川さんは1964年、多磨全生園に入所。2006~16年に自治会長を務めた。高松宮記念ハンセン病資料館(現・国立ハンセン病資料館)や保育所の設置、歴史を伝える記念公園として園を保存する「人権の森構想」などに取り組んだ。参列者はあいさつで「温厚な方だったが、言うべきときは言う人だった」と振り返った。

    自治会長の平沢保治さん(90)は「なぜ先に逝っちゃうんですか」と声を詰まらせた・・平沢さんは「縁の下の力持ちだった」と佐川さんに感謝し、「一日一日頑張っていきます。私たちを見守って励ましてください」と天国に呼びかけた(2018年1月28日東京新聞)

  4. 「弱者に心寄せた政治家」元ハンセン病患者ら悼む、野中広務氏死去

    26日に死去した元自民党衆院議員の野中広務氏は、超党派議員懇談会の顧問を務めるなどハンセン病問題解決にも尽力した。全国ハンセン病療養所入所者協議会の森和男会長(77)は、「弱い人たちのことを考えた政治家だった。大変残念です」と悼んだ。

    森さんは8歳でハンセン病を発症し、ハンセン病訴訟全国原告団にも加わった。現在は高松市にある国立療養所大島青松園で療養生活を送る。野中氏と直接会ったことはなかったが、「われわれに強い気持ちを寄せ、ハンセン病問題の全面解決に努力してくれた。ハンセン病だけでなく、被差別部落や障害者といった弱い人たちのことを考えてくれていた」と惜しんだ(2018年1月26日時事通信)

  5. ハンセン病テーマに長編漫画「麦ばあの島」 姫路の漫画家・古林海月さん

    兵庫県姫路市在住の漫画家、古林海月(ふるばやしかいげつ)さん(49)が10年以上の歳月をかけて取材したハンセン病がテーマの長編漫画「麦ばあの島」(すいれん舎)が出版された。瀬戸内海に浮かぶ岡山・長島の療養所に足を運んで元患者らから聞き取った話や資料などをもとに、国の隔離政策が患者や家族に及ぼした差別や偏見の実態を伝えている。古林さんは「過去の出来事ではなく、身近な人の生きた歴史として関心を持ってもらうきっかけになれば」と話している。

    物語は、隔離政策の根拠となった「らい予防法」が平成8年4月に廃止されて間もない頃の姫路から始まる。望まない妊娠で中絶をした主人公の短大生・聡子は、かつて国立ハンセン病療養所「邑久(おく)光明園」(岡山県瀬戸内市)に入所していた高齢の女性「麦ばあ」と出会い、元患者たちの壮絶な体験を聞く。

    強制される断種(不妊手術)や堕胎。断たれた家族との絆。偏見や差別で自殺に追いやられた人も-。麦ばあと交流を重ねながら、聡子は自分の生き方を見つめ直す(2018年1月24日産経新聞)

  6. 瀬戸内の世界遺産推進協 NPOへ、ハンセン病療養所登録目指す

    岡山、香川の国立ハンセン病療養所3園の世界遺産登録を目指す「ハンセン病療養所世界遺産登録推進協議会」(瀬戸内市)は22日までに、岡山県のNPO法人認証を受けた。

    同協議会は、国の誤ったハンセン病隔離政策による偏見・差別の歴史を検証し、建造物や資料の保存を目指そうと、同市の長島愛生園、邑久光明園、高松市の大島青松園の入所者や同市、報道関係者、地域住民ら役員16人で設立した。今月21日現在、正会員は34個人・団体(2018年1月23日山陽新聞)

  7. ハンセン病療養所自治会、運営難 入所者高齢化、人権擁護に影響 毎日新聞調査

    全国13カ所の国立ハンセン病療養所の多くで、入所者自治会が高齢化で運営が困難になっている。毎日新聞のアンケートに対し、2カ所は既に自力運営できず、少なくとも7カ所がおおむね5年以内に運営できなくなると回答した。入所者の平均年齢は85歳を超し、入所者数がピーク時の1割以下の療養所もある。元患者らの権利獲得、外部との交流など幅広い役割を担ってきた自治会の機能低下は深刻で、支援が急務だ。【岩崎邦宏】

    自治会は入所者による任意団体。長年の強制隔離政策の下で国を相手に処遇改善に取り組み、国家賠償訴訟を進めるなど元患者の人権を守る役割を果たした。近年は見学者の受け入れ、語り部活動など教育・啓発も担っている。

    毎日新聞は昨年9~10月、全13自治会と療養所を対象に、自治会運営や入所者の現状についてアンケートを実施。奄美和光園(鹿児島県)と宮古南静園(沖縄県)が、入所者による自力運営ができなくなっていた。入所者が最少の27人(昨年9月1日現在)の奄美和光園は自治会長が不在で、園職員が昨年8月から自治会運営を代行する。宮古南静園では2012年に自治会の役員を選出できず、現在は入所者が職員らの協力で活動を続けている(2018年1月19日毎日新聞)

2017年

  1. ハンセン病刑務所、保存断念 隔離政策の象徴解体へ

    国内でただ一つのハンセン病患者専用の刑務所として使われた「菊池医療刑務支所」(熊本県合志市)。約20年前に閉鎖された元庁舎が、姿を消そうとしている。現地で学校の建設計画が進み、熊本地震で安全面への不安も生じたため、元患者らが保存を断念した。

    国内最大のハンセン病療養所・菊池恵楓園の向かいにあるコンクリート造り2階建ての白い建物。1986年に建て替えられた菊池医療刑務支所の元庁舎だ。

    53年に熊本刑務所の支所として設置された。同年にできた、らい予防法に基づく隔離政策やハンセン病への偏見から、犯罪に関わった患者の受け入れを一般の刑務所が拒んだことなどが背景にあったとされる。

    菊池恵楓園入所者自治会長、志村康さん(84)は「ハンセン病専用の刑務所がつくられること自体、当時の根強い差別や恐怖心を表している」と言う(2017年9月15日付け朝日新聞)

  2. ハンセン病菊池事件提訴 差別と偏見、解消を 元患者ら「司法は逃げないで」

    元ハンセン病患者らが「菊池事件」で無実を訴えながら死刑になった男性について検察が再審請求しないことで精神的苦痛を受けたとして、29日に熊本地裁に起こした国家賠償請求訴訟。元患者らは、死後再審による無罪獲得とハンセン病患者への差別の解消に向けて一歩を踏み出した。

    「なんとしても彼の無念を晴らしたい」。提訴後に熊本市内で開かれた原告・弁護団の記者会見で、原告の一人で国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」(熊本県合志市)入所者自治会長の志村康さん(84)は力を込めた。

    志村さんは、園に隣接する医療刑務支所に拘置されていた男性と自治会役員として定期的に面会していた。事件のことを話すことはできなかったが、事件の影響で高校にいられなくなった娘が関東の高校へ転校することが決まったと知らせると安心した様子で喜んだことを覚えている。

    「真っすぐ前を見て話す穏やかな人で、面会を重ねるうちに無実を確信した。ハンセン病を理由とすれば誰だって犯人にされてしまう時代だった。彼の無実が証明されなければハンセン病問題は終わらない」。志村さんはこれから始まる裁判を見据えてそう語った(2017年8月30日毎日新聞)

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