福岡地裁 平成31年3月25日判決
3級高次脳機能障害の将来介護費について、67歳まで妻5000円、平均余命まで職業付添人8000円を認めた
解説63歳トラック運転手が、大型貨物車に追突されて頚髄損傷等の障害を負い、自賠責3級3号の高次脳機能障害の障害を負ったものです。
裁判所は、将来介護費について、67歳まで妻5000円、平均余命まで職業付添人8000円を認めました。
付添介護費について、「(入院中)菅の抜去を防止するために原告にはミトンが装着されていたが、原告はこれを嫌がっており、家族が付き添っている間はこれを外すことが許されていたこと、看護師が常に付き添っているわけではないことが認められる」から、原告には入院中、妻を含む家族の付添いが必要であったと認定しました。
そして将来介護費については、「原告の高次脳機能障害については、やや増悪傾向にある印象であること、原告には無気力等が認められること、原告の生活すべての局面で、妻による見守り、声掛け、準備等が必要であり、妻による介護が難しい場合は、介護の専門家による介護が必要であることが認められる」から、原告には症状固定時の年齢である65歳から平均余命まで介護が必要であるといわざるをえないと認定しました。
なお自宅改造費48万8500円については、「原告の寝室を1階にするための改修工事を行い、原告は通院している際もふらつきや転倒が認められており、現在も状況が同様であることからすると、上記改修は本件事故と相当因果関係のある損害である」と認定しています。
同種裁判例としては、さいたま地裁平成29年7月25日判決が、3級高次脳機能障害を残す17歳男子の将来介護費について、母親が67歳になるまでの18年間は日額4000円、平均余命までは職業付添人による日額6000円を認定しています。