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交通事故 裁判例・解説

交通事故 裁判例・解説- 逸失利益 -

横浜地裁 平成29年6月29日判決

右上肢の神経症状等から後遺障害12級を請求した女子美容師の逸失利益について自賠責認定14級10年間5%の限度で労働能力喪失を認めた

解説後遺障害14級の後遺障害認定を自賠責から受けた女子美容師が、訴訟を提起して後遺障害12級を主張した事案です。

裁判所は「本件事故に起因する骨折等の外傷性の異常所見は認められないこと、受傷当初の診断書等には右肩部の傷病名は認められないこと等に鑑みれば、後遺障害は14級9号に該当すると認められる」として後遺障害12級の主張を認めませんでした。

また原告は、労働能力喪失率についても、「繊細に手先を利用して稼働する美容師であること等から14%とすべきである」と主張しましたが、裁判所は、「手先を利用する職業は、パソコンのキーボード操作を必須とする職業など他にも多数ある」とした上、労働能力喪失率は5%の限度で認めたものです。

14級9号後遺障害を後遺した事案において喪失期間を10年間とする裁判例としては、右足関節内果骨折による14級9号後遺障害を後遺する女子美容院店長の逸失歴について10年間・5%を認めた神戸地裁平成26年5月23日判決があります。

大阪地裁 平成27年10月9日判決

81歳女子医師の労働内容は夫の監護として賃金センサス女子学歴計70歳以上を基礎収入と認定した

解説81歳の女子医師(病院副院長経験)Xが横断歩道を歩行中、車両に衝突され、121日入院後に死亡した事案です。

裁判所は「平成21年以降(注:事故は平成24年)は医師としての労働はなく給与収入はなく、事故当時のXの労働内容は、夫の監護である」とした上、センサス女子学歴計70歳以上平均を基礎収入として認定しました。

Xは病院の副院長経験者であり、家庭裁判所からの依頼で鑑定を行ったり、複数の病院の非常勤として勤務し、平成3年から8年にかけては2000万円前後の給与収入があったものの、平成13年から平成18年前後には400万円から700万円、平成19年は157万、平成20年は8万円、平成21年以降は給与収入は0という状況だったケースです。

なお慰謝料については、Xの死亡慰謝料2200万円、夫・子2名の各固有の慰謝料として100万円、合計2500万円の慰謝料を認めています。

同種裁判例としては、息子経営の会社の監査役の78歳女子について、監査役は名目的にすぎないとして否認され、家事労働分としてセンサス65歳以上の70%と認定した東京地裁判決などがあります。

高齢者の収入については資格・肩書きなどで形式的に算定するのではなく、実態に着目して実質的に算定し損害の公平な分担を図るのが裁判例の傾向と言えるでしょう。

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