古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

B型肝炎九州訴訟の原告が2000人に、推計4万人の被害者

予防接種B型肝炎訴訟九州弁護団は11月5日、福岡地方裁判所に72名の追加提訴を行いました。
これで九州訴訟の原告は2028人になります。

九州沖縄地区を担当する九州弁護団は、福岡地裁だけでなく各地裁でも提訴しています。
内訳は福岡地裁1600人、熊本地裁153人、鹿児島地裁149人、那覇地裁126人。

全国の原告は1万4093人でうち8720人が和解に至っています。

なお最近では弁護団に所属しておらず、また医療問題に造詣が深いとも思われない弁護士が、大阪や九州などでラジオCMや新聞広告を盛んに行って、B型肝炎の被害者を集めているようですのでご注意ください。

全国弁護団はこの問題に20年以上取り組んでいるほか(最高裁勝訴判決まで17年かかりました)、全国弁護団会議でノウハウを共有しています。
ところがラジオCMを行っているような単発の事件狙いの弁護士は全くノウハウがありませんので、解決できるものが解決できない、迅速に和解できるのに長期間かかるなどの被害を被る可能性もあります。

実際につい先日、患者さんから福岡県弁護士会に次のようなクレームがありました。
「B型肝炎訴訟をやっているという某弁護士の広告を見たが、調べたら弁護団ではなかった、おかしいのではないか」、「B型肝炎訴訟が得意分野と書いているが本当か」

以前は集団訴訟(特に被告を国とする国賠訴訟)が解決した後に、事件狙いで介入する弁護士は、倫理上も問題があるとしてかなり白い目で見られたものです。

古賀克重法律事務所ブログ 集団訴訟マニュアル

例えばハンセン病違憲国賠訴訟は、国会・行政の立法不作為を問うという極めて難しい法的論点を抱えていましたが、九州弁護士連合会の呼びかけで弁護団を結成して、九州全域の弁護士が手弁当で弁護団に参加。
熊本地裁の全面勝訴判決、小泉総理の控訴断念を勝ち取るなどして解決しました。

その後、弁護団は追加提訴していくわけですが、弁護団以外の鹿児島の弁護士が数名の元患者から依頼を受けて裁判を起こし、かなり顰蹙をかっていたことを思い出しました。

ところが司法制度改革で弁護士数が急激に増加するにつれ、そのひずみが集団訴訟分野にも及んでいるように思います。

つまり、問題が解決するまでは弁護団に入らず手弁当の活動は何も行わず、解決して事件化できる見込みになったら、訴訟に介入するという弁護士の存在です。彼らは白い目で見られようが、顰蹙をかおうが構わない、少しでも依頼が来て費用を回収できればそれで良いというスタンスなのです。

弁護士増員につれて、弁護士の能力の差が開いていると言われています。集団訴訟分野に限らずどの弁護士に依頼するか、依頼者も自己責任の時代になったと言えるかもしれません。

なおB型肝炎訴訟に取り組み全国の弁護団は、厚生労働省のサイトで「問い合わせ先(各地の弁護団の連絡先)」と表示されていますので確認することができます。

弁護団によると、九州には集団予防接種をきっかけにB型肝炎ウイルスに感染した人が推計4万~5万人いるという。
九州原告団の梁井朱美代表は「まだ自分の病気に気が付いていない人も多い。被害者の掘り起こしに力を入れたい」と話した。相談窓口: 092-883-3345 (11月6日付け西日本新聞)

投稿者プロフィール

弁護士 古賀克重
弁護士 古賀克重弁護士
弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。

弁護士 古賀克重

弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。