改正薬害肝炎救済法が成立、救済期限2028年1月まで延長と劇症肝炎の解決

改正の必要性

 改正薬害肝炎救済法が2022年12月10日、参議院で審議され可決成立しました。
 薬害肝炎救済法は2008年1月16日に制定されました。
(正式名称は、「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」)。
 同法は5年間の時限立法です。2回延長された結果、給付金の請求期限は2023年1月16日(薬害肝炎救済法の施行後15年)に迫っていました。

 しかし、給付金の支給を求めて訴訟を提起する被害者がまだ存在しています。例えば薬害肝炎全国弁護団も2020年10月に一斉提訴をしたばかりでした。
そのため、薬害肝炎の感染被害者救済のためには、期限延長が必要不可避と判断されたものです。

 また、「劇症肝炎」とは、ウイルス感染や薬物を原因として肝細胞が広範に壊死を起こし、その結果、急激に肝不全症状が出現する疾患です。重症例では死亡する例も少なくありません。
 劇症肝炎になった場合、慢性C型肝炎を経ずに短期間で死亡する患者もいます。そのため「慢性C型肝炎が進行して・・死亡した者 四千万円」(改正前6条1号)と定めていた従来の薬害肝炎救済法の条文には該当しませんでした。
 このように劇症肝炎によって死亡した場合、「死亡」という重大な結果が出ているにもかかわらず、C型肝炎ウイルスに感染した「無症候キャリア」としての給付(1200万円)しか得られないという不都合が出ていたのです。
 薬害肝炎全国原告団にも2名の劇症肝炎被害者の遺族がおり、厚生労働大臣との毎年の協議会においてもその解決を強く求めていました。
 国会での成立を傍聴した原告さんからの報告も届いています。

本日 福地先生と一緒に参議院本会議 傍聴してまいりました
最初13時からの予定でしたが 午前中よりおこなっていた各委員会が伸びて 17時開会となりました
薬害肝炎の救済法延長と劇症肝炎の方の救済の追加については、厚労省の関連の障害者に関する法律とともに最初に審議されました。
厚労委員長より審査報告があり 採決へ
浅倉さん、伊藤先生、原告、弁護士の皆様 本当にありがとうございました
厳かな議事堂で採決を見る事ができ無量でした
皆様の活動に感謝いたします
長くなりましたが 報告まで

改正の概要

 以上をふまえて、まず給付金の請求期限が、2028年(令和10年)1月17日までさらに5年間、延長されることになりました。2008年の施行からすると20年間ということになります。
 具体的には、救済法5条1号が、「この法律の施行の日から記載して二十年を経過する日」と改正されました。

 次に、劇症肝炎に罹患して死亡した方の給付金の水準について、慢性C型肝炎が進行した死亡した者と同水準(4000万円)に引き上げることになりました。
 具体的には救済法6条1号ロとして、「C型肝炎ウイスるにより劇症肝炎(遅発性肝不全を含む。)に罹患して死亡した者」が追加されることになりました。

改正前の薬害肝炎救済法6条1号

一 慢性C型肝炎が進行して、
  肝硬変若しくは肝がんに罹患し、又は死亡した者
4000万円
二 慢性C型肝炎に罹患した者2000万円
三 上記以外の者
 * 無症候性キャリアのほか劇症肝炎で死亡した者も含まれると国は解釈していた
1200万円

改正後の薬害肝炎救済法6条1号

一 慢性C型肝炎が進行して、
  肝硬変若しくは肝がんに罹患し、又は死亡した者
  劇症肝炎等に罹患し死亡した者
4000万円
二 慢性C型肝炎に罹患した者2000万円
三 上記以外の者
 * 無症候性キャリア
1200万円

施行期日

 施行期日は公布の日から施行されます。

 劇症肝炎によって死亡し、既に薬害肝炎救済法によって無症候性キャリアとして1200万円の給付金支給を受けていた方が、引き上げられた4000万円との差額2800万円の給付金の支給を受けるため、所要の経過措置が定められます。

注意点

 注意点としては、薬害C型肝炎として救済される枠組みが変わったわけではないことです。
 患者は、「投与事実」、「因果関係」、「C型肝炎の症状」を証拠に基づいて立証する必要があるわけです。
 薬害肝炎訴訟は、C型肝炎患者全員に対する賠償請求を求める裁判ではありません。法的責任に基づかず、感染原因を問わず、国や企業が賠償することはありえないのです。2002年10月に開始した薬害肝炎訴訟は、訴訟当初から、あくまでフィブリノゲン製剤・クリスマシンなど問題のある特定凝固因子製剤を投与されたことによる感染被害に対する賠償を求めるものであり、その枠組みは今後も変わりません。

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