薬害肝炎原告団弁護団が田村厚労大臣と協議、課題実現のためのロードマップ作成へ

薬害肝炎全国原告団・弁護団と厚生労働大臣との協議会が2014年8月27日、厚生労働省内会議室にて開催されました。

この大臣協議は、薬害肝炎訴訟が解決する際に締結した基本合意書に基き、様々な積み残しの課題について、年に1回協議するもの。全国から70名の原告弁護団が参加しました。

厚生労働省

協議分野は、「恒久対策」、「再発防止」、「被害救済」の3項目です。
冒頭で全国原告団代表の山口美智子さんが挨拶し、大臣挨拶を受けて、早速各項目の協議に入りました。

「協議に入る前に、まずは大臣はじめ役人の方々に苦言を呈したいと思います。5月26日に渡した要求書に対する回答が、6月26日から7月2日に遅れたこと、また協議日程も2008年以降で最も遅い日程にずれ込んだことです。このことからもみなさんの取り組む姿勢・やる気のなさを感じます」、「9月3日に内閣改造があると聞いて複雑な気持ちです。私たちはこれまで9名の厚労大臣を見てきました。私が最も尊敬する坂口元大臣が評価される田村大臣をおいて、厚労行政に精通されている方はおられません。昨年は、大臣として真摯に耳を傾けて頂きました。今年は大臣として最大限の努力を約束するだけでなく、具体的な施策を述べて頂けると期待しております」

◆ 恒久対策~肝硬変以降の患者支援

まず、恒久対策については、肝硬変以降の患者の生活、治療費支援というテーマについて協議しました。

昨年の大臣協議においては、肝硬変以降の患者の支援については、「八橋班の最終報告をふまえて検討する」ということを確認していました。

ところが、厚労省は、新たな研究班(江藤班)の中で実施している肝臓機能障害に関する分担研究において、肝炎患者等の症例収集を通じた認定基準の検証を行っている、この江藤班の分担研究を踏まえ検討していきたいと回答してきました。

このように先送りし続ける厚生労働省に対して、薬害肝炎原告団は、強く迫って行きました。

まず、田村厚労大臣は、「身体障害者手帳の認定基準の見直しについては、26年度中に終了予定の江藤班をふまえて、そして八橋班の研究報告書も当然踏まえた上で、対応できるようにしたい。このように結論が出るのでご了承を頂きたいと思っている」とあらためて回答しました。

次ぎに、「肝癌についてはハードルがあるけれども御要望をふまえて、1歩でも半歩でも何とか勧められないか、与党と調整しつつ取り組んで行きたい」との回答がなされました。

弁護団からのどのようなスケジュールになるか具体的に回答して欲しいという質問に対して、さらに田村厚労大臣は、「5年、10年ではなく、もう少し早く実現していきたい。厚労省だけで進められないので、政治的な流れを作っていきたい。可能な限り早い中でハードルを越えたい」と回答しました。

◆ 被害救済~非特定製剤の救済

続いて被害救済について協議しました。
ここでは、薬害肝炎救済法の対象外である非特定製剤の救済を取りあげます。

古賀克重法律事務所ブログ 大臣協議

いわゆる薬害肝炎救済法は、訴訟時に対象となった4製剤(フィブリノゲン、クリスマシン、PPSBニチヤク、コーナイン)によるC型肝炎感染被害を救済するものですが、他の血液凝固因子製剤にも同様に肝炎感染の危険性があります。そこで、4製剤以外の製剤についても救済の対象にせよと求めている問題です。

この問題について、田村厚労大臣は、昨年の大臣協議において、「関連性が認められれば当然法改正の対象となる」と明言していました。

そこで弁護団は、全国の相談窓口に寄せられた相談の中から、非特定製剤であるコンコエイトを投与されてC型肝炎に感染したケースについて、カルテとともに厚生労働省に提出していました。

ところが厚生労働省は内部で見解を統一したい等として先延ばしした上、カルテも返却し、今年になってからは、協議の場(作業部会)の開催にさえ応じてこなかったものです。

田村大臣は、「担当者が司法の話しというので、他の資料もふまえて行政として判断すべきと伝えた。もう一度カルテ類を頂いて検討させて頂きたい」、「まず納入医療機関に対して再調査を依頼する。そして感染した患者さんに対して、厚労省から連絡調査する努力はしたい」と前向きな回答をしました。

◆ 再発防止~第三者組織・薬害資料館の実現に向けて

最後の協議議題は、薬害の再発防止についての取り組みです。

まず九州原告の小林さんから、「最終提言で示されている第三者監視評価機関は、対応の遅れが目立ちます。私達薬害肝炎被害者は、訴訟当初から薬害の再発防止を強く望んできました。最終提言に向けた取り組みはまさにそのためのものだと思っています。しかしこれまでの取り組みのスピードは決して満足いかないものです」、「大臣、ぜひ、最終提言の実現促進に向けて、もっと直接的かつ具体的な方法を講じて下さい」と迫りました。

この点厚労省は、事前に弁護団に対して、「現在の第三者組織の状況は、議連(議員連盟)の事務局に対して、状況を伝えて相談しているところである」と文書回答してきました。

ところが弁護団が議連事務局に確認を取ったところ、今年に入って厚労省からは何の連絡もないということが判明したので、その矛盾を追及しました。

古賀克重法律事務所ブログ 田村憲久厚生労働大臣

これに対して、田村大臣は、その場で官僚から説明を受けて、「申し訳ありません。確かに今年に入って厚労省から再度議員連盟に動きを確認していなかったという報告を、今受けました。申し訳ありません、ちゃんとフォローしていなかった私の責任であります。早急に議員連盟に問い合わせて、どういう対応をして頂けるのか詰めたい」と率直に回答しました。

また薬害資料館については、九州原告手嶋さんが、「具体化はいつになるんですか。薬害資料館とは、市民に警笛を鳴らして見識をたかめるとともに、薬害の原因・経過をふりかえり、今後の薬害防止にも貢献できるようにするものです。来年度も引き続き、資料保存マニュアルを効果的に実現するために、法政大学金先生の研究班をさらに充実し、継続させて頂きたいのです」と訴えました。

これに対して、「薬害の歴史を次世代に伝えるのは大事であると思う。この後どうするかについて皆さんと相談していきたい」という田村大臣答弁を受けて、担当官僚(医薬品副作用被害対策室長)からも、「研究費なのか事業費なのか、そして完成したマニュアルをふまえて目録の作成等どのように進めていくのか、その点も含めて相談しながら進めていきたい」「法政大学の金先生にもよく相談して、皆さんにもよく相談しながら進めたい。研究班設置も含めて考えていきたい」と回答しました。

◆ 実現までのロードマップを

最後に鈴木弁護団代表から、「9月中に、今後1年間どのように取り組んで行くのか、ロードマップを提出して頂けないか」と要望しました。

これに対して、田村厚労大臣は、「書けるものについては整理させて頂きたい。本日は、行政として積極的に取り組んでいなかったことをお詫びしたい。皆さんのご意見をふまえて我々としてどのように取り組むのか、この大臣協議は貴重な機会と思っている。来年の大臣協議までに今回のことのないようにしたい」と前向きな発言で締めくくられました。

9月3日の内閣改造で田村厚労大臣の処遇は不明ですが、行政の継続性の見地から厚生労働省には引き続き本日の大臣協議で約束したことを遵守してもらいたいと思います。