医療過誤原告の会が30周年、記念誌を発行しシンポジウムを開催
目次
医療過誤原告の会とは
正会員として加入している医療事故情報センターから、「医療過誤原告の会30年のあゆみ」と「30周年記念シンポジウム」の案内を頂きましたのでご紹介します。
「医療過誤原告の会」は1991年10月に設立した医療過誤による被害者とその家族の集まりです。
虫垂炎手術の麻酔事故で次男が重度の寝たきりになった近藤郁男さんが、裁判終了後に、全国の医療事故被害者に呼び掛けて発足しました。
その後、医療過誤原告の会は、医療事故調査制度設立を求めた活動、事故調発足後は改善に向けた提言、写真パネル展の開催、会報出版、講演やシンポジウムの開催、毎月の駅頭宣伝、個別医療過誤訴訟の支援などを地道に継続しています。
詳しい活動はそのサイトでも読むことができます。
30周年記念誌を発行
30周年を迎えるにあたり、医療過誤原告の会は、記念誌「たったひとつの命にこだわって」を発行しました。
30年の歩みを振り返るとともに、ともに歩んできた患者側弁護士からも加藤良夫弁護士、鈴木利廣弁護士、堀康司弁護士らが寄稿しています。また医療ジャーナリストからも複数の文章が寄せられています。
患者側弁護士としても医療事故を取り巻く歴史を振り返り、自ら手掛けている医療過誤事件にもその思いを反映させることのできる読み応えのある一冊でしょう。
「医療過誤事件に対する社会の目の変化、医療界の反応のあり方は、医療過誤訴訟を担当する裁判官たちにも心理面でそれなりの影響を与えているものと思われます。医療過誤訴訟の原告勝訴率は低迷し、医療被害者にとって「医療過誤訴訟は冬の時代」と言われることもあります。
とはいえ、医療被害を受けた人々が泣き寝入りせず、これまで医師・医療機関に対して声を上げ続けてきたこと、「医療過誤原告の会」等の団体が社会に向かって活動し続けたことにより、「患者の権利」や「医療安全の取り組み」が少しずつ前進してきたことも事実です。
医療事故の被害者を蚊帳の外に置いたまま、医療の安全も医療の質の向上も実現していくとは思われません。
医療過誤原告の会が「患者の人権の確立」「医療の質の向上」「医療被害者の救済」等のために取り組むべき課題、活躍できることは色々とありそうです。
志を同じくする患者団体や市民グループ、応援してくれる良心的な医師等医療従事者の方々等と共に力を合わせて引き続き頑張っていただきたいと思います。」(弁護士 加藤良男「原告の会30周年に寄せて」)
医療過誤原告の会がシンポジウムを開催
医療過誤原告の会は2021年12月19日に30周年記念シンポジウムも開催しました。内容は、「奪われたいのちを見つめて~被害者を家族が語る」と題して、10名の家族(夫・妻・子・母など)が10~15分ずつ講演しました。
また2023年12月には、「医療事故調査制度発足8年、患者のための医療を」と題する講演会を開催しています。
関連サイト
医療過誤原告の会
医療事故情報センター
日本医療機能評価機構
日本医療安全調査機構(医療事故調査制度について)
産科医療補償制度
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投稿者プロフィール
- 弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。