自転車の歩道通行に青切符、改正道路交通法で反則金が導入
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令和6年改正道路交通法が成立
自転車のいわゆるながら運転や酒気帯び運転に罰則を定めた改正道路交通法が2024年5月17日、参議院本会議で可決・成立しました。
令和6年道交法改正の理由は、「最近における道路交通をめぐる情勢等に鑑み、自転車等の交通事故の防止等のため、自転車の運転中における携帯電話使用等の禁止、自転車等の運転者による一定の違反行為の反則行為への追加等の措置を講ずる必要がある」というものです。
令和5年の自転車関連事故7万339件のうち、自転車が加害者であるケースは1万7607件、自転車が被害者になるケースは5万4732件になっています。
改正道路交通法は、自転車が関係する交通事故が増加傾向にある中、スマートフォンを見ながらの運転や酒気帯び運転に罰則を設けて、事故防止を図っていくとともに、自転車の歩道通行にも青切符を導入したものになります。

自転車が歩道通行できる場合とは
道路交通法上は、自転車は「軽車両」とされ、車と同じ「車両」の一種とされています。したがって、道路交通法17条1項によって、車道と歩道の区別があるところは「車道通行」が原則となります。自転車は道路の左端を通行しなければならないのです。
自転車が歩道を通行できるのは、まず、道路標識や道路標示で「歩道通行可」とされている場合になります。
また、道路標識がなくても、13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、一定程度の身体障害のある方は、歩道を自転車で通行できます。
さらに、車道の通行が危険な場合も歩道を通行できます。具体的には、自動車の交通量が多く、かつ、車道幅も狭い時などです。一時的に歩道を通行することがやむを得ないと、車道又は交通の状況に照らして客観的に認められることが必要と考えられています。
道路交通法63条の4
普通自転車は、次に掲げるときは、第17条第1項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
青切符の対象となる自転車の歩道通行とは
自転車に青切符が切られるのは法律に違反した時全てではありません。青切符による取締りは、悪質・危険な行為に限定しています。
例えば、「スピードを出し歩道通行して歩行者を驚かせ立ち止まらせた場合」や「警察官の警告に従わずに歩道通行を続けた場合」などが、自転車青切符の対象になります。
自転車歩道通行の青切符の反則金の額は
自転車の青切符の対象となる違反行為は113種類に及びます。
自転車の歩道通行の反則金の額は6000円です。そのほかにも信号無視は6000円、遮断機下りた踏切の立ち入りは7000円、スマホのながら運転は1万2000円などとなっています。
携帯電話を使用しながら自転車を運転する 1万2000円
遮断機が下りている踏切に立ち入る 7000円
歩道通行・逆走など通行区分違反 6000円
車道の右側通行 6000円
信号無視 6000円
一時不停止 5000円
ブレーキなど制御装置の不良 5000円
傘を差したり、イヤフォンで音楽を聴きながら運転 5000円
無灯火 5000円
並んで走行 5000円
2人乗り 3000円
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投稿者プロフィール

- 弁護士
- 弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。