古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

フランチャイズ規制法の意義と問題点、韓国の実態調査をふまえて

本部から示されていた売上げ予測が実態と異なった、契約後の指導援助がない、赤字だけ残された・・フランチャイズによるそのような被害が後を絶ちません。

日本弁護士連合会消費者問題対策委員会は、フランチャイズ(FC)規制法を検討するため、2月に韓国に調査に赴いた上、4月25日にはシンポジウム「韓国フランチャイズ調査報告と今後のフランチャイズ法制を考える」を弁護士会館にて開催しました。

韓国では既に2002年、フランチャイズを規制する加盟事業法が制定されています。

加盟事業法は、フランチャイズ本部が公正取引委員会(KFTC)に対して、「情報公開書」の登録を義務づけています。
この「情報公開書」に対して、公正取引委員会は、真実性の審査を行い、虚偽情報があった場合には、登録拒否や取消しまでなされています。

また、加盟期希望者が支払った加盟金は、いったん銀行に預託され、フランチャイズ本部は直ちに受け取れません。収益予測の開示については義務ではないものの、加盟希望者に提示する場合には書面で行う必要があります。

日本では判例において、フランチャイズ本部の情報開示義務を認めた上、個別の事実認定で救済を図っています。しかしながら過失相殺がなされる場合が大半ですし、脱サラなどからフランチャイズ加盟にふみきった人の事後的救済としては不十分。

フランチャイズ規制法は、フランチャイズの問題を法律の枠組みにおさめるものであり、いわば野放し状態のフランチャイズ本部に対する一定の歯止めになる意義があるでしょう。その意味で日本においてもフランチャイズ規制法制定の必要性は論を待ちません。

一方において、加盟事業法が制定されて10年経つ韓国でも、いまだフランチャイズ紛争が多いということ。
原因としては、「情報公開書」とは別に、フランチャイズ本部が加盟希望者に対して、口頭で過大な収益予測を述べることが指摘されています。

要するに、法律制定だけでは問題は解決しないのであって、裁判所や公正取引委員会の役割が、極めて重要であるということを示唆しています。日本においても、公正取引委員会がもう少し積極的にFC問題に取り組むことが求められているのではないでしょうか。

日本弁護士連合会(日弁連)がフランチャイズ(FC)の規制法をつくるため、法整備が進む米国と韓国に調査団を派遣し、規制のあり方を考えるシンポジウムを今年一月、四月と相次いで開くなど法制化へ向けて動き出している。七月の参院選挙後には法案要綱をまとめて国会議員に提案し、立法化をめざす予定だ・・
・・フランチャイズの発祥の地・米国では、連邦法で契約前に本部側に加盟店・脱退者・加盟団体の連絡先、仕入れリベートなどの情報開示が義務づけられているほか、州法では詐欺的勧誘を規制したり重要事項を説明しないと違法になるなど加盟店擁護の立場をとっている。
韓国では公正取引委員会の下に本部との紛争を処理する「調停院」が置かれ、もめごとの約八割が解決しているという。米・韓のFC法とも、本部に比べて加盟者の立場が圧倒的に弱いという精神に貫かれているのが特徴だ(週刊金曜日・6月21日号)。

投稿者プロフィール

弁護士 古賀克重
弁護士 古賀克重弁護士
弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。

弁護士 古賀克重

弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。