古賀克重法律事務所ブログ

福岡県弁護士会所属弁護士 古賀克重(こが かつしげ)の活動ブログです。

法律相談センターに関する九州ブロック協議会を開催、法律相談センターの再生のために

◆九州ブロック協議会の開催

公設事務所・法律相談センターに関する九州ブロック協議会が1月17日、18日の両日、開催されました。
毎年各県弁護士会が持ち回り担当ですが、今年は福岡県弁護士会担当ということで小倉にて開催したものです。

九州・沖縄の各弁護士会や日弁連から90名強の弁護士が参加。私も現在法律相談センター委員会の副委員長をしており、4月から委員長職につくため初日に参加してきました。

まず日弁連からは「法律相談センターの再生のために(案)」と題する詳細な分析が資料とともに配布され、概要の説明がありました。

資料は、「法律相談センターの相談件数の減少とその要因」、「センターの存在意義」、「相談料の障壁を解消する工夫」、「分野別相談の拡充」、「効果的な広報の工夫」等がわかりやすくまとめられており、それなりに参考になりました。

◆必然的な相談センターの相談減

ただ個人的な感覚としては、「再生」という言葉は違和感が残りました。

弁護士会の運営する「相談センター」の相談件数の減少要因は、要するに、法曹人口増加による弁護士増に伴い、各個別事務所にて相談を受けることが増えていること、そして法テラスの相談が増えていることに尽きると思っています。
全国的にみれば弁護士会の運営する法律相談センターの相談件数は、今後も減り続けるでしょうし、それは今の法曹人口の伸びと法テラスの存在を前提にすれば、当然の帰結ではないでしょうか。

「相談センターは危機的状況にある」等の発言をする人が福岡でもおられるのですが、福岡だけみても私が弁護士登録した1995年に600人だった弁護士数が1100人と2倍近くに急激に増えたわけですから、弁護士会の運営する法律相談センターへの相談が減少するのはやむを得ないと思います(もちろん赤字経営にならないことが前提ですが、福岡は単年度赤字としても、繰越金によって現時点では問題なく運営されています)。

以上の意味において、各弁護士会が各地の実情に応じて、できる範囲の法律相談サービスを市民に提供すれば足りるだけの話しではないかと思います。

◆センター相談の無料化の是非

続いて、「法律相談の無料化」というテーマについて私が発表担当でしたので、福岡の取り組みを報告し、若干の意見交換を行いました。

福岡県弁護士会の運営する法律相談センターは、原則有料相談であり、今後も全面的に無料にする予定はありません。

福岡県弁護士会 天神弁護士センター

ただし必要に応じて2007年には多重債務相談の無料化、2012年には労働者側の労働相談の無料化を導入した結果、相談件数が飛躍的に増加しました(例えば労働相談は3倍)。
このように、必要分野について必要な範囲で会内合意を経た上、無料化を実施してきたことなどを発表しました。

会議全体としては、司会の日弁連法律相談センター委員会委員長の差配でうまく議論が行われていたと思いますし、各弁護士会に持ち帰る材料は数多く提供された会議になったと思います。

◆福岡相談センターの現状

福岡県弁護士会ではいずれにしろ18か所ある法律相談センターは年間相談件数1万件を維持していますし、昨年はついに一般事件が微増に転じました。

このように、多重債務事件・過払い金事件減少による相談件数減少は底をうったと思いますので、今後も地道な広報活動を継続するとともに、少なくとも相談センターを会計的に運営できなくなる時までは、弁護士会運営の法律相談を希望する市民及びセンターでの相談業務を希望する会員に対して、「相談の機会」を提供し続けていくことになるのでしょう。

投稿者プロフィール

弁護士 古賀克重
弁護士 古賀克重弁護士
弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。

弁護士 古賀克重

弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。