自転車の飲酒運転で福岡市の看護師が懲戒解雇処分に、改正道路交通法で取締りが強化中
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自転車の飲酒運転で懲戒解雇
福岡市立こども病院の看護師(30代)が自転車の飲酒運転で懲戒解雇処分になりました。
看護師は2025年5月、勤務後に福岡市内の飲食店で日本酒を3杯飲んだ後、無灯火で自転車に乗っていました。警察官が呼び止めて呼気検査を実施したところ、基準値を超えるアルコールが検出されたため、検挙されたものです。
看護師は書類送検され、「極めて軽率な行為をして深く反省している」と話しています。
飲酒運転の処分については各公務員・各会社によって基準が異なります。
例えば2024年11月に自転車の飲酒運転をし、大分簡裁から罰金20万5000円の略式命令を受けた大分県局長(50代)は、更迭されて停職3か月の懲戒処分となっています。

自転車の飲酒運転に対する道交法の定めは
道路交通法65条が、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と定めています。そして自転車も「軽車両」になります。
つまり、自転車の「酒気帯び運転」は道交法によって禁止されていたわけですが、罰則については対象外でした。
自転車事故の増加・重大事故の発生をふまえて、自転車の酒気帯び運転に罰則を定めた改正道路交通法が2024年5月17日、参議院本会議で可決・成立しました。
改正道路交通法によって、これまで罰則の対象外だった自転車での酒気帯び運転についても、罰則が創設されたわけです。2024年11月1日から施行されています。3年以下の懲役、または50万円以下の罰金になります。
なお酩酊状態などの「酒酔い運転」については、改正前から罰則が適用されています(5年以下の懲役、100万円以下の罰金)。
自転車の酒気帯び運転検挙数が増加傾向、警察も取締りを強化中
このように2024年11月から新たに罰則の対象となった自転車の酒気帯び運転。福岡県内における検挙数は1か月間で137件にのぼりました。
全国としては2か月間で1018件にも達しています(警察庁統計)。
警察も全国的に取締りを強化しており、2025年の検挙数は相当な数に上ると指摘されています。
自転車の酒気帯び運転の検挙状況について、現場の警察関係者からは「予想以上に多く、深刻だ」という声も上がっていて、警察は「ながら運転」を含めた新たなルールの周知に力を入れるとともに、悪質なケースは検挙するなど取締りを行っていくとしています(2024年12月10日付NHK)
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投稿者プロフィール

- 弁護士
- 弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。
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