桑名市総合医療センターが患者取り違えて採血し輸血する医療事故
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桑名市総合医療センターが患者取り違え輸血する医療事故
地方独立行政法人桑名市総合医療センター(三重県)が、患者を取り違えて採血し、輸血の必要がない患者に輸血する医療ミスがあったことを公表しました。
2025年10月31日、桑名市総合医療センターの医師が、内科病棟に入院中の90代女性患者の定期検査のために、看護師に採血を指示しました。
ところが、看護師が、同じ部屋で入院中の別の80代女性から誤って採血してしまいました。医師は、貧血が進行していた80台女性の採血結果をもとに、90代女性に対して輸血を行いました。
11月1日、90代女性から採血したところ、予想以上に貧血が改善していることに医師が疑問を抱き、ミスが発覚したというものです。
二人の患者の血液型が偶然同じだったため、健康被害は発生しませんでした。医療センターは患者家族に対して謝罪しています。

誤った患者からの採血と輸血の原因
今回の医療事故の原因は、看護師が患者の個人情報を十分に確認しなかったことです。自分で意思表示できない高齢患者だったため、本人確認を行う手順を遵守すべきでした。
ところが看護師は、患者の名前や識別番号を確認することなく、誤って別の患者から採血してしまい、その結果、90代の患者に輸血をしてしまったものです。
誤った患者への輸血は繰り返し発生している医療事故。
日本医療機能評価機構も医療安全情報で繰り返し報告しています。
例えば、電話での呼び出し時に職員間で患者を取り違えた事例、患者から離れた場所で認証システムを使用したため、別の患者のところに輸血を持って行ってしまった事例など、様々なケースが報告されています。
本件医療事故後の2026年1月に公表された医療安全情報(No230)でも、電話呼び出し時の患者取り違えが取り上げられています。
「電話で患者を呼び出す際は、氏名と患者ID、氏名と生年月日など、2種類以上の情報で患者を特定する」などの取り組みが紹介されています。
法的責任と類似の医療事故
患者の取り違えという基本的かつ重大なミスであり、医療機関の責任は免れません。仮に重大な健康被害が生じていれば、民事上の賠償責任はもちろん、刑事責任の対象にもなりえる可能性があります。
1999年には横浜市立大学医学部附属病院において、重大な患者の取り違え事故が発生しました。心臓手術予定の患者と肺手術予定の患者を取り違えて、各患者に別の手術をしてしまったというものです。
この重大な医療事故は社会問題化し、それ以来、各医療機関において様々な工夫がされていますが、今も散発する重大な医療事故になります。
例えば2026年2月6日には、千葉県がんセンターが、患者を取り違えて、誤って前立腺を摘出した医療事故を公表しました。
検査を担当した医師が、別の患者のがんを示す検査結果を、その患者の電子カルテに張り付けたことが原因でした。千葉県がんセンターは、検査結果を電子カルテに貼り付ける時の患者確認、そして、主治医による検査結果原本の確認を徹底するとしています。
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関連情報
誤った患者への輸血(第2報・医療安全情報110号)
医療安全情報230号 電話呼び出し時の患者取り違え
横浜市立大学医学部附属病院の医療事故に関する中間とりまとめ
医療過誤・医療事故・医療ミスの法律相談(古賀克重法律事務所)
投稿者プロフィール

- 弁護士
- 弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。




