がん患者の部位別5年生存率を厚生労働省が初公表、乳がん88%、肺がん37・7%
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患者の部位別5年生存率を公表
厚生労働省は2026年1月14日、がんと診断された患者の部位別5年生存率を初めて公表しました。
2016年に施行されたがん登録の推進に関する法律が、全国の全ての病院に対してがん患者情報の届け出を義務付けました。その結果、2016年診断症例からは、全都道府県を対象とした生存率が集計可能になったものです。
今回の統計は、2016年にがんと診断された患者について、2016年1月1日から2021年12月31日までの期間で集計されたものです。
集計対象は、44地域・約254・7万症例。富山県・静岡県・宮崎県の3県のみが対象外になっています。
採用されている生存率とは
生存率とは、一般に、ある病気にかかった人のうち、一定期間経過後も生存している割合をいいます。
今回公表された「患者部位別5年生存率」では、「純生存率」が採用されています。
純生存率とは、がん以外の死亡がなかったと仮定して算出した生存率をいいます。がんが対象集団の死亡にどれだけ影響したかを純粋に評価する指標となります。
具体的には、全年齢での生存率集計をする際に、高齢の患者に重み付けをし、早い段階で他死因で亡くなったであろう患者のがん死亡リスクも代表させる手法である純生存率が考案され、わが国でも採用されたものです(報告書14頁)。
これに対して、いわゆる「相対生存率」は、治療成績を年代で比較する際に用いられる指標です。
ただし、がん以外の病気で死亡した場合(例えば高齢の患者)、先に集団から脱落してしまい、他死因死亡リスクの低いグループ、つまり若い患者の生存率に偏ってしまい、生存率が過大推定される恐れがあります。
そこで、本集計からは純生存率に変更されたものです。

がん5年生存率の概要とは
15歳以上のがん患者の5年生存率は、部位によって大きな差が出ました。
生存率が高かったのは、前立腺がんの92・1%、乳房癌の88%など。
一方、生存率が低かったのは、膵臓がんの11・8%、肝臓がんが33・4%などです。
5年生存率の高い順に並べると下記の通りになります。
前立腺がん : 92・1%
乳がん : 88%
子宮頸がん : 71・8%
大腸がん : 67・8%
胃がん :64・0%
肺がん : 37・7%
肝がんおよび肝内胆管がん: 33・4%
膵臓がん : 11・8%.
がん5年生存率の男女別の違いは
また男女別でも生存率に違いが出ています。
男性患者の5年純生存率が比較的高い(70~100%)部位は、前立腺、甲状腺、皮膚、乳房、喉頭でした。
女性患者の5年純生存率が比較的高い部位は、甲状腺、皮膚、乳房、子宮体部、喉頭、子宮頸部でした。
一方で、生存率が比較的低い(0~29%)部位は、男女ともに、胆のう・胆管、膵臓でした。
がん5年生存率の今後
がんの部位別生存率の公表は、患者や医療関係者にとって重要な情報源となるものです。
厚生労働省は、今後も全国がん登録を通じて、がん患者のデータを集計して、定期的に生存率の更新を行う予定です。
これにより、がん治療の効果を適切に評価していくことが可能になり、さらなるがん治療の進展に資することが期待されています。
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