神経ブロックの左右の取り違えの医療事故、医療安全情報229号
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神経ブロックの左右の取り違えの医療事故が報告
公益財団法人日本医療機能評価機構が、「医療安全情報」229号・2025年12月号を公表しました。
神経ブロックを実施する直前に部位を確認しなかったため、左右を取り違えた事例が報告されています。2019年1月1日から2025年10月31日の間に発生した13件の事例です。
報告事例の主な背景とは
左右を取り違えてしまった事例の主な背景は、以下の3つに分類されています。
まず、術式・術側は執刀直前のタイムアウトで確認していました。ところが、その前に行う神経ブロックの際は、術側の確認方法が決められていなかったというものです。
次に、入室時に術側の左右を確認したものの、神経ブロックを行う直前に術側の左右を確認するルールがなかったというものです。
さらに、腹臥位で坐骨神経ブロックを行う前に術側が左であることを確認しましたが、その後、仰臥位で大腿神経ブロックを行う前に左右を確認しなかったというものです。
左右取り違えの具体的な事例は
今回の医療安全情報が報告した事例は、以下の通りです。
事例1は、左肘関節授動術を右側臥位で実施するため、手術室看護師は、患者右側にスペースができるように室内を準備していました。
ところが、全身麻酔導入後、整形外科医師は、右側が術側と思い込んでしまい、誤って右側に腕神経叢ブロックを実施してしまったというものです。
術式・術側は執刀直前のタイムアウトで確認することになっていましたが、神経ブロックの際は術側の確認方法を決めていなかったため、確認していなかったために発生しました。

事例2では、左上腕骨骨折手術後の抜釘術を右側臥位で実施するため、右側に手術の器械などを準備していました。
ところが、全身麻酔導入後、麻酔科医師は、右側が術側と思い込んでしまい、誤って右側に腕神経叢ブロックを実施したというものです。
入室時に術側の確認を行っていましたたが、神経ブロックを行う直前に術側の左右を確認していなかったために、発生しました。
再発防止のためのポイントとは
事例1・事例2ともに、患者周りの空間や機械の設置状況から医師が視覚的に軽信してしまい、自身の思い込みから部位を誤ったというものです。
再発防止のためのポイントとしては、例えば、「神経ブロックを実施する直前に、術側の左右を同意書などを用いて照合するルールを決める」、「術側の左右の確認は、入室時、神経ブロックの実施直前、執刀直前の3つのタイミングで行う」などが提言されています。
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