薬害肝炎全面解決のための要求書2014年度を厚労大臣に提出
薬害肝炎全国原告団・弁護団と国との間において締結された2008年1月15日付基本合意書に基づき、原告団弁護団は2014年5月26日、厚生労働大臣に対して、2014年度の要求書を提出しました。
6月26日までに回答して、大臣協議を7月中に開催するように求めています。
要求書の内容は、原告団弁護団の活動目標である3点、つまり「再発防止」「恒久対策」「被害実態調査」からなります。
まず再発防止においては、第三者組織や薬害資料館の設立を求めています。
最終提言は、薬害根絶のための重要な手段として、薬害に関する資料の収集、公開、保存、研究等を恒常的に行う仕組み、すなわち薬害研究資料館の創設を求めている。厚生労働大臣は、薬害研究資料館の施設開設を行うことを約束するとともに、その準備としての薬害資料調査事業について、実施計画(位置付け、予算等)を確認し、資料館実現に向けた今後の手順を示されたい。
また恒久対策においては、17頁にわたって、検査の実施体制等に関する要求、医療提供体制の確保に関する要求、調査・研究に関する要求、医薬品の研究開発の推進に関する要求、啓発・知識の普及・人権の尊重に関する要求、生活保障等に関する要求などを行っています。
肝障害に関する身体障害者福祉法上の身体障害者認定基準を緩和されたい。
昨年の大臣協議において、厚生労働大臣から、障害認定基準の緩和については、現在、研究班で肝炎の方々の医療、生活実態等々に関する研究が行われており、今年度最終報告が出されることから、それを踏まえて検討を行いたい旨、回答がなされていた。今般、八橋班研究が平成26年3月で終了したが、平成26年5月8日に開催された第1回作業部会において、本年4月から3年間の研究期間の予定で、新たな研究(「障害認定のあり方に関する研究」)を開始し、その中で認定基準を引き直しできるかということを検討していくとの発言がなされた。
そこで、この新たな研究班が予定している研究内容及びスケジュールについて明らかにされたい(肝炎分担班の研究がいつ頃完了するのかも含めて)。
仮に肝炎分担班の研究に3年を要するということであれば、それは結論を先送りするものでしかなく、到底容認できない。その場合は、八橋班研究の最終報告に基づき、身体障害者認定基準の緩和について速やかに検討し、基準を緩和されたい。
最後に感染被害実態調査に関する要求においては、診療録の未調査医療機関の解消のために、非政府系(民間)医療機関に対する調査を要請しました。
また、薬害肝炎救済法の対象となっている血液凝固因子製剤(いわゆる「非特定製剤」)による感染被害を調査し、救済措置を取ることを求めました。
救済法の対象となっていない血液凝固因子製剤に対する感染実態調査を尽くし、救済法の対象とするよう法律改正を行うなど必要な救済措置を講ぜられたい。
具体的には、受診勧奨製剤による感染被害者に対しては、単に受診勧奨を行うに止まるのではなく、受診勧奨製剤について救済法の対象とするよう救済法改正を行うべきである。
また、受診勧奨対象となっていない製剤であっても、被害者と疑われる患者が多い製剤については、新たに受診勧奨を行い、調査を実施した上で救済法の対象とするなど適切な被害者救済措置を講ずるべきである。
以上について、厚労大臣が前面に出て、主導的に、早期に具体的解決方針を示した上で実施すべきである。
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投稿者プロフィール

- 弁護士
- 弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。
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