子宮頸がんワクチン被害救済急げ、毎日新聞社説
「子宮頸がんワクチン被害救済急げ」という社説を毎日新聞が出しています。
被害救済を求める社説は、毎日以外にも読売新聞、朝日新聞、そして南日本新聞、琉球新報、西日本新聞など地方紙含めてかなり出そろいつつあります。
薬害肝炎訴訟でも5地域の判決が出るにつれて世論も高まり、社説が一つ、二つと増えていきましたが、子宮頸がんワクチン被害については、被害者が自ら発信し、被害者連絡会が地方自治体に直接働きかけることなどによって、世論の理解も少しずつ進んできました。
なお2014年にも朝日新聞・読売新聞は「ワクチン接種の勧奨は慎重に」という社説を出しています。
今回の毎日新聞の社説は、「ワクチンを接種しても子宮頸がんを完全に防げない」という子宮頸がんワクチンの問題点についても冷静に言及しています。
被害者の救済も急務である。
子宮頸がんワクチンは10年度に国の助成事業となって任意の接種が進んだ。予防接種法の改正で、13年4月からは、小学6年~高校1年の女性を対象に、ワクチン接種が努力義務となる定期接種となった。
国には、予防接種で健康被害が起きた場合に医療費などを補償する救済制度がある。追跡調査がまとまったことから、厚労省は救済に向けた審査を本格化させた。
問題なのは、任意接種による被害は定期接種による被害に比べ、医療費などの支給条件が厳しいことだ。これまでに約338万人が接種を受けたが、被害者の多くは任意接種によるものだという。同じワクチンによる被害なのに、救済内容に差が生じては、被害者は納得できないだろう。厚労省は救済の格差を埋める財政的な措置を検討している。具体策を速やかに示してもらいたい。
改めて指摘しておきたいのは、ワクチンを接種しても子宮頸がんを完全に防ぐことはできないことだ。がん検診を定期的に受け、早期発見と治療につなげる必要がある。日本人女性の子宮頸がん検診受診率は欧米に比べて低迷している。政府は、受診率の向上に知恵を絞るべきだ。(10月5日付け毎日新聞)
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投稿者プロフィール

- 弁護士
- 弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。
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