産科医療補償制度の最近の動向は?日本医療機能評価機構が広報誌で特集
日本医療機能評価機構の広報誌「ニューズレター(NEWS LETTER)」2015年11月号が発刊しました。
今回の特集は「産科医療補償制度」。
「最近の動向」と「原因分析報告書に関するアンケートの結果」について言及しています。
産科医療補償制度は2009年1月から開始。出産時に重度脳性麻痺を負った児・家族に対して、過失の有無を問わず、補償(3000万円)を行うとともに、脳性麻痺発症の原因分析を行い、再発防止に資する情報を提供するものです。
補償対象は2009年の419件から年々減少傾向にあります(2010年355件、2011年265件、2012年213件、2013年148件、2014年52件)。
審査件数自体も、2009年の561件から2014年の54件と激減しており、医療安全が進んできたということ、広報や周知に問題があること等がうかがえます。
補償申請期限は児の満5歳の誕生日までになっていますが、5年を超えて「もうできないのでしょうか」という相談を数件受けました。
分娩医療機関がきちんと情報提供していればこのような事態は発生しないはずですが、やはり周知体制の問題がうかがえます。
また、産科医療補償制度では、原因分析報告書が分娩機関と保護者に送付されます。
両者にアンケートが実施されており(2011年、2012年、2013年、2015年の4回)、「原因分析が行われたことが良かった」という回答が、分娩機関74%、保護者65%に達しています。
かなり高い満足度とはいえ、保護者の満足度が分娩機関のそれを下回っているところは気になるところ。そこに改善の余地があるのかもしれません。
なお産婦人科の訴訟の動向については、「産科医療補償制度は、施行後相当数の事件を処理しており、医療関係訴訟の事件数にも一定の影響を及ぼしているものと考えられる」としています。
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投稿者プロフィール

- 弁護士
- 弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。
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