13年目を迎える「弁護士ブログ」をリニューアル
2004年から12年続けてきた「古賀克重法律事務所(弁護士)ブログ」を引っ越して、2017年2月、全面リニューアルしました。
長年使用してきたプロバイダが身売りする機会に決断したものですが、色々と「これまで」と「これから」を振りかえる良い機会になりました。
ブログを始めた2004年当時はもちろんツイッター、フェイスブック、インスタグラムのようなSNSはありませんでした。日弁連がようやく広告解禁に舵を切ったのが2000年10月1日。法律事務所や弁護士のWebSiteが可能になった頃です。
今の若い弁護士に話しをするとビックリされますが、私が福岡県弁護士会で第1号のウェブサイトを立ち上げた時、「どうして?」「何が面白いの?」「飛び込みの相談者が来て困らない?」とか散々言われました笑から、隔世の感があります(因みに当時は「紹介がないと事件は受けない」という弁護士が大半で、紹介なしの事件を受けるべきか、みたいな議論が本気でされていた時代でした)。
ブログを始めた頃は、ちょうど薬害肝炎訴訟が福岡をはじめ全国5地裁で開始した頃。そのため、ブログの記事としても、自然と薬害肝炎訴訟の裁判期日の告知や期日の報告、原告の声、支援者の訴えなどが中心になりました。
やがて少しずつ原告や支援者、そして学生の間にもブログが広がり、原告・弁護団・支援者が一体となって肝炎訴訟の情報を発信していきました。
私が九州弁護団の事務局長をしていましたので、記者やメディア関係者にも「薬害肝炎訴訟の最新情報はまず私のブログを見て欲しい」と告知し、気になる情報があればさらに個別取材をしてもらうというやり方を取っていました。
アクセス解析を見ると頻繁に厚生労働省からもアクセスがあり、被告国側も原告側の発信する情報を気にしていることが良く分かったものです。
ちなみに今は様々なSNSがあり、原告・支援者がツールを問わずに積極的に発信し、最新情報を共有していきます。一方被告側も積極的に発信(反論)していきます。
昔とは違いむしろ情報が溢れて、大事なものが希薄化しがちな側面もあるでしょう。時代は様変わりしており、同じやり方は通用しない、より違う工夫の必要な時代になってきていると思います。
その後、2007年12月、当時の福田総理が薬害肝炎問題の全面一律救済を政治決断し、2008年1月には薬害肝炎救済法が成立し全面解決への道筋が立ちました。
当時の政府は、厚生労働大臣と原告との面談も徹底的に避けるなど「鉄板」のような頑なさでした。それが、政治決断後はわずか一か月で法律を作り、政策を180度ガラリと転換したわけです。いったん政策決定した後の自民党・官僚のスピード感・力量には凄まじいものがありました。
そして法律ができた後は自治体・医療機関も基本的には全面的に協力してくれるようになり、現在に至っています(解決前は訴訟の原告弁護団というだけで色眼鏡で見られました。医療講演会の講師を見つけることさえ苦労しましたが、今では専門医の方々が快く協力してくれます)。
集団訴訟は「国の政策変更を求める政策形成訴訟」とも言われますが、その一端を目の当たりにした数ヶ月。その刻一刻と変化するダイナミックな状況をブログでリアルタイムに発信することができました。
このように薬害肝炎訴訟が解決した後は、肝炎について更新すべき情報も少しずつ減っていきました。原告や支援者・学生のブログも更新が止まり、私もなんとなくブログを頻繁に更新するモチベーションが落ちていきました(薬害肝炎の話題を目当てに閲覧に来る人が多いため他の話題を取り上げにくいというのも、今振り返るとあったように思います)。
やがて少しずつ医療安全や医療過誤の記事にシフトするとともに、二つ目のブログとして、法律相談ブログも立ち上げていきました。
2013年には福岡県弁護士会の副会長を務めることになりました。副会長は会長を補佐し、様々な委員会の手伝いを行い、場合によっては企画を立案・実現していく役割を担います。
私は法律相談センター運営委員会、交通事故委員会、消費者委員会、中小企業支援委員会、対外広報委員会、弁護士推薦委員会など15近い委員会を担当したため最新の法律事情に接する機会が増えました。そのほかにも、日弁連、九弁連、他の弁護士会、行政、政治家、メディアとも交流・意見交換する機会が増えました。
折に触れてブログで会務情報についても触れるように試みましたが、余り自分のブログ更新モチベーションにはなりませんでした笑
そうこうするうちにブログを開始してから10年が過ぎるうちに、自然な飽きがまたやって来ていたわけですが、今回、プロバイダの身売りという外的要因をきっかけにして、これまでを振り返り、思い切って新しいブログを立ち上げることにしたものです。
リニューアルにあたっては、法律相談ブログと分けずに一つのブログに統合しました。
今後は、弁護士として興味の湧いた分野・テーマ・話題について、フレッシュな気持ちでのんびりと更新していきたいと思います。
13年目を迎える古賀克重法律事務所ブログを引き続きよろしくお願いします。
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投稿者プロフィール
- 弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。