DVD温故知新 ~薬害から学ぶ~
PMRJ(社団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団)が、薬害教育のためのDVDを完成させました。寄贈頂きましたので早速視聴しました。
薬害肝炎事件の検証委員会が「薬害教育の必要性」を指摘して注目を集めた「薬害教育」。
裁判史など専門的な文献はある一方で、学生・医療従事者・社会人が簡単に学べるテキストが少ないのが実情です。
このPMRJが発刊したDVDは、映像の力とともに概要を分かりやすくまとめていますので、薬害教育、講演会、シンポジウムなど様々な場面で重宝すると思います。
今回発巻されたのは2本。
第1巻は「総集編」として、「薬害教育の必要性」、「薬害の概念」、「医薬品の適正使用の重要性」、「薬害事例と特徴」などをまとめ、最後に薬害被害者からのメッセージとして薬被連の花井氏が分かりやすいコメントを残しています。
第2巻「スモン事件」は、1950年代から70年代に発生した薬害スモン事件の「あらまし」から始まり、「原因薬剤の追及」、「キノホルムの安易な使用拡大」について、和解に応じなかった被告田辺製薬(当時)の不誠実な態度にも言及しながら解説しています。そしてスモン患者の苦しみでは、薬害スモン福岡判決でも取りあげられた原告患者の詩が印象的に紹介されています。
今後も続巻予定であり、サリドマイド事件、エイズ事件、大腿四頭筋短縮症、陣痛促進剤、ソリブジン、そして薬害肝炎も取りあげられる予定とのことです。
私たち日本人は戦後、幾つかの薬害を経験してきました。これに対して、平成22年に薬害肝炎事件検証委員会がまとめた薬害再発防止に向けた最終提言が公表されました。その中で、薬害教育の重要性が述べられています。医療・医薬品のすべての関係者は、各々の薬害の実態を学び、記憶にとどめることで、薬害発生の防止につなげていかなければなりません。
本DVDの「総集編」では、わが国の薬害を概観し、主な薬害の実態を紹介しています。
「スモン事件」では、全国に多数の被害者を生んだ原因の解明と被害者の苦悩について紹介しています(「温故知新」ビラより)。
目次
投稿者プロフィール

- 弁護士
- 弁護士古賀克重です。1995年に弁護士登録以来、患者側として医療過誤を取り扱っています。薬害C型肝炎訴訟の弁護団事務局長として2008年の全面解決を勝ち取りました。交通事故も幅広く手掛けており、取扱った裁判が多数の判例集で紹介されています。ブログではその主たる取扱い分野である医療過誤・交通事故について、有益な情報を提供しています。
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